最近、排水の流れが悪い気がするし、厨房がなんだか臭うというような違和感を見過ごしていませんか?飲食店の排水トラブルは、営業中のストップや修理費の発生など、大きなリスクにつながることもあります。
この記事では、排水溝のつまりを引き起こす原因と、すぐにできる対策、そしてトラブルを回避するための設備選びまで、わかりやすく解説します。
大切な厨房を清潔に保ち、安心して営業を続けるために、まずは基本を押さえておきましょう。
飲食店の排水溝がつまる5つの原因

営業後にシンクの水がなかなか引かないし、掃除しているのに排水溝がすぐ詰まると感じることはありますよね。
飲食店の排水溝は、日々の調理や洗い物によって想像以上に負担がかかっており、原因を知らずにいると何度も同じトラブルを繰り返すことになります。
- 油脂やラードの蓄積
- 食品カスの流出
- グリストラップの清掃不備
- 洗剤や薬剤の使いすぎや使い方ミス
- 排水管の劣化や地震による傾き
ここでは、排水溝がつまる主な原因を5つに紹介します。
それでは、順にみていきましょう。
油脂やラードの蓄積
唐揚げやラーメン、中華料理など、油を多く使う飲食店では、調理中の油やラードが排水に混ざり、大量に流れ込むことがあります。
油やラードは、排水管の中で冷えると固まり、少しずつ内部に蓄積。さらに、空気中に気化した油が天井やダクト、排水周辺に付着し、時間の経過とともに厚くなっていきます。こうした汚れは、普段の清掃では取り除きにくく、知らぬ間に排水トラブルの原因となってしまうのです。
食品カスの流出
お米の粒や野菜の切れ端、魚の骨など、食器や調理器具の洗浄時に流れてしまう食品カスも大きな原因のひとつです。
初めは問題なく流れていても、管の途中で引っかかり、そこに油やゴミが絡みつくことでどんどん大きな塊に。小さなカスでも油と組み合わさると、強固な「排水溝のつまりのもと」に変化するのです。
グリストラップの清掃不備
グリストラップは、排水に含まれる油やゴミを分離・回収するための装置ですが、定期的に掃除を行わないとその効果を十分に発揮できません。油脂や生ゴミがトラップ内に過剰に溜まってしまうと、処理しきれなかった汚れが排水管へ流れ込み、つまりを引き起こす原因となります。
さらに、蓄積された油脂を放置すると、悪臭が発生したり、害虫が寄りついたりするリスクも高まります。こうしたトラブルを防ぐためには、グリストラップの清掃を定期的に行い、管理体制を整えることが大切です。
洗剤や薬剤の使いすぎや使い方ミス
強力な洗剤をたっぷり使えばきれいになるとつい思いがちですよね。実は、洗剤や薬剤を過剰に使用すると、十分に分解されないまま排水管内に残り、それが固まって詰まりの原因になります。
特に粉末タイプやアルカリ性洗剤は、グリストラップの機能を低下させ逆効果になる場合もあるため、用量や使い方には注意が必要です。
排水管の劣化や地震による傾き
築年数の古い建物や地震の多い地域では、排水管そのものが劣化し、傾きが生じて水がスムーズに流れなくなっている場合があります。
排水管は本来、緩やかな勾配をもたせて水が自然に流れるように設計されています。しかし、地盤沈下や地震の影響でこの勾配が崩れると、水が溜まりやすくなり、そこに汚れや油が溜まってつまりを引き起こすのです。
飲食店の排水溝つまりを防ぐ3つの対策

排水溝のつまりを何度も経験している方は、原因だけでなく対策にも目を向けましょう。排水溝のつまりの多くは日々の習慣やメンテナンス不足から始まります。
ここでは、飲食店の排水トラブルを未然に防ぐための具体的な対策を3つ紹介します。
- 業務用パイプクリーナーで油汚れを分解する
- グリストラップをこまめに清掃する
- ドレンクリーナーや高圧洗浄機で汚れを取り除く
それぞれ説明していきます。
グリストラップをこまめに清掃する
グリストラップは、油や生ゴミを排水から分離してくれる装置ですが、内部に汚れが溜まると反対に排水不良を引き起こしてしまいます。とくに、油が固まってしまうと簡単には取れなくなり、悪臭や害虫の原因にもなりかねません。
毎日の営業終了後や最低でも週に数回はバスケット部分のゴミ取りを行い、月に一度は底に溜まったスカム(油脂)も清掃するよう心がけましょう。
業務用パイプクリーナーで油汚れを分解する
日常の清掃では取りきれない排水管の内側の油汚れには、業務用のパイプクリーナーが効果的です。市販の家庭用よりも強力な成分で、蓄積した油脂を分解し、つまりの予防に役立ちます。
ただし、使いすぎは排水設備を傷める可能性があるため、使用頻度や用量は必ず製品表示を確認してください。なお、パイプクリーナーは週1〜2回のペースで定期的に使用するのがおすすめです。
ドレンクリーナーや高圧洗浄機で汚れを取り除く
より頑固な汚れや、すでに排水の流れが悪くなっている場合には、ドレンクリーナー(ワイヤー式清掃道具)や高圧洗浄機の使用が効果的です。
ドレンクリーナーや高圧洗浄機は、パイプの中に直接入り込んで物理的に汚れをかき出したり、水圧で押し流したりできるため、深部のつまりにも対応できます。特に半年〜1年に一度は専門業者に依頼して、高圧洗浄を行うと安心です。
グリストラップが原因で排水溝がつまったときの修復費用
排水溝がつまって排水が流れなかったり、厨房が水浸しになったりするようなトラブルの裏には、グリストラップのつまりが潜んでいるケースが少なくありません。定期的な清掃を怠っていると、内部にたまった油脂やゴミがオーバーフローし、排水管まで影響を及ぼすことがあります。
では、修理や清掃を業者に依頼すると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?グリストラップが原因で排水溝がつまったときの修復費用の一般的な目安は次のとおりです。
【 修復費用の相場】
修復程度 | 費用の目安 |
---|---|
軽度なつまり(グリストラップ内部のみの清掃) | 約1万円〜2万円 (出張費込み。所要時間は30分〜1時間程度) |
排水管まで影響している中〜重度のつまり | 約3万円〜6万円 (高圧洗浄機やワイヤー使用などの作業が含まれる) |
グリストラップ自体の部品交換や修理が必要な場合 | 5万円〜10万円以上になることも |
※地域や業者によって価格は前後します。深夜・早朝対応や緊急対応になると、追加料金が発生することもあります。
排水溝がつまりにくいグリストラップ蓋の選び方
グリストラップの蓋にはさまざまな種類があり、選ぶ際のポイントを押さえておかないと、思わぬトラブルやメンテナンスの手間につながることがあります。
蓋を選ぶときに確認すべきポイントは次の5つです。
- 耐久性と清掃性に優れた素材を選ぶ
- 水はけが良くゴミがたまりにくい形状を選ぶ
- ゴミをキャッチできる細かい目を選ぶ
- 作業中の安全性を高める滑り止め加工付きにする
- 使用環境に合った耐荷重性能を確認する
適切なグリストラップ蓋を選ぶことで、排水溝のつまりの予防だけでなく、作業効率や安全性の向上にもつながりますので、詳しく見ていきましょう。
耐久性と清掃性に優れた素材を選ぶ
グリストラップ蓋の素材には、ステンレスや樹脂、スチールなどがありますが、ステンレス製の蓋が最もおすすめです。
ステンレス製のグリストラップ蓋は、サビに強く、耐久性も高いため、油分や水にさらされる厨房環境でも長持ちします。また、表面がなめらかで汚れがつきにくく、清掃も簡単に行えるので、日々のメンテナンスの負担を減らすことができます。
水はけが良くゴミがたまりにくい形状を選ぶ
グリストラップ蓋の形状も排水の流れに大きく影響します。水がスムーズに流れる構造になっている蓋を選ぶことで、ゴミや油がたまりにくくなり、排水溝のつまりのリスクを軽減できます。
さらに、「取り外しやすいかどうか」も重要なポイント。いざというとき、スタッフだけで簡単に取り外せるタイプを選んでおくと、トラブル対応もしやすくなります。
ゴミをキャッチできる細かい目を選ぶ
グリストラップ蓋の目の細かさには「普通目」と「細目」があり、つまり防止の観点からは細目のタイプがおすすめです。細かい目のグリストラップ蓋であれば、小さな野菜くずや食品カスが排水溝へ流れ込むのを防ぎ、グリストラップや配管のつまりを抑えることができます。
ただし、細かい分、ゴミが溜まりやすくなるため、定期的に汚れのチェックと掃除を行うようにしましょう。
作業中の安全性を高める滑り止め加工付きにする
厨房は油や水で滑りやすいため、滑り止め加工の施されたグリストラップ蓋を選ぶことは非常に重要です。
グリストラップ蓋は、表面に凹凸やザラつきのあるタイプ、イボイボ加工がされたタイプなどがあります。従業員がグリストラップ蓋の上を歩くこともあるため、滑りにくい仕様にしておけば、転倒事故の防止につながり、安全な作業環境が保てます。
使用環境に合った耐荷重性能を確認する
グリストラップ蓋には、人が歩く程度に耐えられる「歩道用」と、車両や重量機器にも耐える「車道用」があります。
通常の厨房では歩道用で十分ですが、蓋の上に什器や厨房機器を置く場合は、その重量に耐えられるものを選ぶ必要があります。あらかじめ、どの程度の荷重がかかるのかを確認して、無理のないスペックのグリストラップ蓋を選ぶようにしましょう。
排水溝がつまったときの応急処置とNG行動
排水溝のつまりを復旧させるスピードを高めるために重要なのが、初動の判断です。誤った対処は状況を悪化させ、修理費用や復旧時間が増える原因にもなります。
ここでは、つい行いがちなNG行動と、すぐできる応急処置のポイントを4つ解説します。
- 市販薬剤で無理に溶かそうとすると逆効果になる場合も
- “水を流し続ける”は悪化の元|まずは止水と確認から
- メンテナンスしやすい蓋構造で清掃の手間を削減する
- 臭い漏れを防ぐ“密閉性”の高い設計もチェックする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
市販薬剤で無理に溶かそうとすると逆効果になる場合も
強力なパイプクリーナーや化学薬品は、固まった油脂や異物に対して一時的に流れを改善することもあります。しかし、詰まりの種類によっては逆に固着を促してしまう可能性も高いです。
特に粉末や粒状タイプは排水管内で化学反応を起こしやすく、熱やガスを発生させる場合もあるため、樹脂管の変形や破損リスクが高まります。
薬剤を使う場合は詰まりの原因と材質を見極め、取扱説明書に沿った分量と時間で使用することが大切です。
“水を流し続ける”は悪化の元|まずは止水と確認から
詰まりを感じた際に水を勢いよく流し続けると排水管内の圧力が高まり、逆流や溢水を引き起こす恐れがあります。
特に飲食店の厨房では油脂や食品カスが水流で奥に押し込まれ、より深刻な閉塞になるケースもあるでしょう。
応急処置の第一歩は止水し、グリストラップや排水口周辺の状況を確認することです。溜まった水や異物を取り除いてから、適切な清掃や薬剤処理を行えば被害の拡大を防げます。
H2:排水溝がつまりにくいグリストラップ蓋の選び方
メンテナンスしやすい蓋構造で清掃の手間を削減する
蓋が重すぎたり、取り外しに専用工具が必要だったりすると、清掃頻度が下がり油脂や汚れが蓄積しやすくなります。
導入するならヒンジ式や軽量素材を採用した蓋がおすすめです。開閉が容易で、日々の清掃も短時間で済ませられます。
さらに、内部が見やすい構造であれば、異物混入や水位の異常も早期に発見できます。つまりが発生する前に確認でき、予防につながるでしょう。
臭い漏れを防ぐ“密閉性”の高い設計もチェックする
排水口からの臭気は、飲食店の衛生印象を大きく損ないます。
ゴムパッキンやシリコン製シールが付属しているタイプであれば、外気との接触を最小限に抑えられます。厨房や客席への広がりを防止するため、内部からの臭気を遮断できる密閉性の高い蓋はがおすすめです。
また、密閉構造でも通気機能を備えた製品なら、水位や圧力の変化による作業性低下も防げます。
排水設備のトラブルを業者に相談すべきタイミング
軽度のつまりや汚れは自力で対応できても、放置すると衛生リスクや営業停止の可能性が高まります。プロの技術と専用機材を活用すれば、短時間で安全な解消が可能です。
ここでは、相談すべき判断基準を2つ紹介します。
- 悪臭が1日以上続く/逆流する|この場合はプロに依頼
- 年1〜2回の定期清掃が“つまり予防”に効果的
それぞれ詳しく見ていきましょう。
悪臭が1日以上続く/逆流する|この場合はプロに依頼
排水設備からの悪臭が1日以上続く場合、内部で油脂や有機物が腐敗し、ガスが発生している可能性があります。
さらに、シンクや床排水から逆流が見られるときは、排水経路の奥で深刻な詰まりが進行しているサインです。
こうした症状は薬剤や家庭用器具では解決が難しく、放置すると設備や配管の損傷に直結します。早めに業者へ連絡し、内視鏡調査や高圧洗浄など専門的な処置を受けましょう。
年1〜2回の定期清掃が“つまり予防”に効果的
飲食店や食品加工場では、日々のメンテナンスに加えて年1〜2回のプロによる定期清掃が重要です。高圧洗浄やグリストラップ内部の完全清掃は、蓄積した油脂やスケールを根本から除去できます。
定期的に実施すれば、急な設備トラブルや悪臭発生を防ぎ、営業への影響を最小限に抑えられます。長期的な維持管理コストを抑えるなら、清掃時には蓋やパッキンの劣化も点検し、必要に応じて交換しましょう。
まとめ|排水溝のつまりを軽減してクリーンな飲食店にしよう!
飲食店にとって、排水トラブルは営業に直結する重大なリスクです。油脂や食品カス、清掃不足など、排水溝のつまりの原因は日々のちょっとした積み重ねによって生まれます。
しかし、グリストラップの定期清掃やパイプクリーナーの活用、そしてグリストラップ蓋の正しい選び方を意識すれば、多くのトラブルは未然に防ぐことが可能です。
トラブルが起きてから対処するのではなく、「排水溝をつまらせない仕組み」を整えることが、清潔で安心な厨房環境を保つ第一歩です。日常のメンテナンスを見直し、クリーンな厨房づくりを目指しましょう。
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