飲食店の坪単価とは?売上計算・内装・家賃相場と節約のコツ

坪単価を不安に感じる飲食店経営者は少なくありません。とくに複数の店舗を切り盛りしている飲食店オーナー様にとっては切実な悩みでしょう。家賃や内装費とのバランスも気になるところです。

この記事では、立地・内装・家賃が経営にどう関わってくるかを分かりやすく整理しました。坪単価の分析方法や、実際の店舗運営に活かせる戦略まで解説していきます。

数字に振り回されず、無理のない経営を続けていくための参考にしてください。

目次

飲食店の坪単価とは?坪売上や坪月商との関係

飲食店経営において、「坪単価」は経営の要となる指標です。ここでは用語の違いを分かりやすく解説します。

  • 飲食店の坪単価とは
  • 飲食店の坪売上とは
  • 飲食店の坪月商とは
  • 飲食店の坪売上の計算方法
  • 飲食店の家賃坪単価・内装費坪単価の違い

1つずつ見ていきましょう。

飲食店の坪単価とは

坪単価とは、「1坪あたりにかかるコスト」のことです。店舗面積が大きくなるほど、坪単価の数字は重要になってきます。

たとえば、10坪の店舗で月額家賃が30万円なら、坪単価は3万円。つまり、1坪あたり月3万円の家賃がかかっていることになります。

坪単価が高すぎると、固定費の負担が重くなることも。逆に低すぎると、立地や集客力に課題がある可能性があります。

飲食店の坪売上とは

坪売上は、「1坪あたりの売上高」を意味します。坪単価がコストなら、坪売上は「そのコストに対してどれだけ稼いでいるか」の実績を表すものです。

もしあなたが月商400万円、20坪の店舗をもっているなら、坪売上は20万円。1坪のスペースがどれだけ効率的に稼いでいるかが分かります。

多店舗展開の場合、坪売上の目安は30万円〜50万円程度です。この数字が低いと固定費をカバーできず、経営が厳しくなる可能性があります。

飲食店の坪月商とは

坪月商は、坪売上とほぼ同じ意味です。

50万円を超える坪月商の店舗は、効率が高いと言えるでしょう。多店舗運営で坪月商が安定すれば、家賃の高い都心立地でも採算が取りやすくなります。

飲食店の坪売上の計算方法

計算はとてもシンプル。総売上高を店舗面積(坪数)で割るだけです。

飲食店の坪売上の計算方法

<飲食店の坪売上の計算例>
総売上:400万円
店舗面積:20坪
坪売上:400万円 ÷ 20坪 = 20万円/坪

1坪あたりでどのくらい利益が出ているのかが見えるため、お店の改善ポイントもつかみやすくなるでしょう。

飲食店の家賃坪単価・内装費坪単価の違い

「家賃の坪単価」と「内装費の坪単価」、意味も使うタイミングも大きく異なります。

飲食店の家賃坪単価・内装費坪単価の違い

家賃坪単価:月々の家賃をお店の坪数で割った金額。固定費として毎月かかるコスト。

内装費坪単価:オープンや改装のときにかかった初期費用を坪数で割った金額。一時的な費用だが資金計画には重要。

たとえば10坪のお店で内装費が300万円なら、内装費坪単価は30万円です。

どちらも経営計画に大事な数字ですので、バランスをとることで現実的な売上目標や資金回収のプランが立てやすくなります。

業種・地域別|飲食店の坪単価相場

飲食店の坪単価は、実は業態や場所によって大きく変わります。業態ごとに求められる設備や客単価が異なるうえ、都心部・郊外・ロードサイド店舗などエリアの違いも坪単価に影響するためです。

  • 業態別(カフェ・ラーメン・居酒屋など)の坪単価
  • 地域別(都心・郊外・ロードサイド店舗)の坪単価
  • 店舗賃料相場の調べ方
  • 初期費用と坪月商(平均・50万超え)の関係性

順に解説します。

業態別(カフェ・ラーメン・居酒屋など)の坪単価

お店のタイプ(業態)によって坪単価に差が出ます。大体の相場は以下のとおり。

業態別(カフェ・ラーメン・居酒屋など)の坪単価
  • カフェ:坪単価は1.5万円〜2万円。ゆったりした席配置のため、面積あたりの売上は抑えめ。
  • ラーメン店:坪単価は2万円〜3万円。お客様の回転が早く、小さな店舗でも売上を伸ばしやすい。
  • 居酒屋:坪単価は2.5万円〜4万円。夜メインの営業で、お客様の単価や立地によって大きく変動。

これらの数字はあくまで目安で、実際は地域の相場や競合状況によっても変わってきます。自分のお店に近い業態の坪単価を参考に、計画を立てることが重要です。

地域別(都心・郊外・ロードサイド店舗)の坪単価

お店の場所によって、坪単価は大きく変わります。

地域別(都心・郊外・ロードサイド店舗)の坪単価
  • 都心エリア(例:東京都内の中心部):坪単価は3万円以上が目安。家賃が高いぶん、売上へのプレッシャーも大きめ。確実に利益を出すか、テナントの条件交渉に力を入れる必要がある。
  • 郊外:坪単価は1万円〜2万円くらいが多め。家賃はかなり抑えられ、固定費負担も抑えやすい。ただし、どうしても都心よりお客様の数が少なくなるので、集客の工夫がポイント。
  • ロードサイド店舗:車での来店が中心のため広い敷地が必要。坪単価そのものは郊外と大差ない。駐車場の動線や看板の出し方も大事。

立地の特徴と坪単価のバランスを知っておくと、無理のない店舗運営につながります。

店舗賃料相場の調べ方

お店の家賃を調べたいときは、「不動産サイト」や「飲食店向けの物件紹介サービス」を使うのが効率的で便利です。

不動産サイトなら、以下のサイトが有名です。

店舗物件の絞り込み検索もできます。

飲食店向けの物件紹介サービスなら、次の3つのサービスを参考にしてください。

とくに「飲食店ドットコム」は、家賃相場や開業者向けの情報も豊富です。初めての出店を考えている方にもおすすめです。大手の不動産サイトなら「飲食OK」で条件を絞って、希望するエリアや広さで検索できます。

飲食に強い仲介業者に相談すれば、過去取引事例やエリアごとの相場感も教えてくれます。よりリアルな坪単価を把握したい場合にぴったりです。

商工会議所や飲食系の業界団体に聞いてみると、役立つ情報をもらえることもあります。いくつかの情報を比べながら、自分のお店に合った適正な坪単価をつかんでいきましょう。

初期費用と坪月商(平均・50万超え)の関係性

お店の初期費用が大きくなるほど、月ごとの「坪あたりの売上目標」もハードルが上がります。初期投資であっという間に数百万円規模になることも。

この「初期費用」と「坪月商(=1坪あたりの月間売上)」の関係、ざっくりこんな感じで考えると分かりやすいです。

初期費用と坪月商(平均・50万超え)の関係性
  • 坪月商50万円以上:高い家賃をカバーできる売上のレベル。都心の高単価な業態に多い。
  • 坪月商30万円〜40万円:郊外や中規模の店舗で目指しやすいライン。安定経営の目安にも。
  • 坪月商20万円以下:コストを抑える必要あり。家賃の見直しや業態の工夫が必要かも。

「初期投資に対して売上で回収できそうか?」と、売上見込みと初期費用のバランスを考えてみましょう。

飲食店の坪単価を抑える方法

家賃や内装費は飲食店経営の中でも大きな固定費ですが、開業時の坪単価を抑えられれば資金繰りが楽になります。

飲食店の坪単価を抑える方法
  • 信頼できる内装業者の選び方(10坪店舗の内装費目安)
  • 飲食店の家賃比率20%を守るポイント

上記2つについて解説します。

信頼できる内装業者の選び方(目安:10坪店舗の内装費)

信頼できる内装業者の選び方
  • 相場を把握する
  • 業者の実績を確認する
  • 契約内容が分かりやすいか
  • 対応のスピードと柔軟さ

内装費は、お店の坪単価にそのまま響いてくる大事な部分です。だからこそ初めに何社かに見積もりを出してもらって、比較検討することが基本。

まず大事なのは「相場を知ること」。たとえば10坪の小規模店なら、内装費はだいたい150万円〜300万円が目安です。もちろん、業態やデザインによって上下します。

次にチェックしたいのが「実績」です。飲食店の内装施工経験が豊富かどうか、過去の施工例を見せてもらうのが安心。できれば、自分のお店と似た業態の実績があるとベストです。

「契約内容が分かりやすいか」も大事なポイントです。費用の内訳が明確で、「ここは追加が出やすいかも」などのポイントも説明してくれる業者さんだと信頼できます。

「対応のスピードと柔軟さ」も重要です。納期にきちんと間に合わせてくれるか、急な変更にも柔軟に対応してくれるかもチェックしてください。

こうしたポイントを押さえて選ぶと、坪単価を無理に上げずに満足度の高い内装が目指せるでしょう。

飲食店の家賃比率20%を守るポイント

飲食店を安定して続けていくには、「家賃が売上のどのくらいを占めてるか」が重要です。

業界の一般的な目安として、家賃は売上の10%未満に収めるのが理想的。少なくとも、20%以内に抑えることが安心ラインです。

家賃比率が20%を超えると、わずかな売上減でも利益が圧迫され、経営に大きな影響を与えかねません。家賃が売上の10%を超える場合は、利益率と今後の売上見通しを慎重にチェックしましょう。

家賃と売上のバランスを取るには、以下のポイントを意識します。

飲食店の家賃比率20%を守るポイント
  • 売上に合った物件を選ぶ:いきなり家賃の高い一等地は避け、無理のない場所で売上を確保してから次のステップへ。
  • 店舗の広さを見直す:必要以上に広いお店は家賃リスクが大。必要最小限の広さで効率的なレイアウトを。
  • 契約時の交渉:契約前に家賃の値下げや、フリーレント期間(家賃無料)の交渉を忘れずに。仲介業者のアドバイスも活用する。

こうした工夫で、家賃に振り回されない利益の出るお店づくりができます。

飲食店坪単価に関する失敗事例

具体的な事例を通して、失敗を避けるポイントを考えてみましょう。

  • 事例1:10坪飲食店のレイアウト失敗例
  • 事例2:10坪飲食店における売上低迷の例

順に解説します。

事例1.10坪飲食店のレイアウト失敗例

10坪ほどのコンパクトなお店の場合、使えるスペースに限りがありますよね。レイアウト次第で売上の効率が大きく変わってくることも。

たとえば、「少しでも多く席を増やそう!」と席を詰め込みすぎて、お客様が窮屈に感じてしまうパターンがあります。

そうなると居心地が悪くて、回転率も上がらないし、リピートも減ってしまいます。さらに、スタッフの動線も悪く、サービス品質の低下を招いて口コミもイマイチに…。

10坪の小規模店舗のような限られた空間では、“席数”と“動きやすさ”のバランスがとても大事です。

お客様が「また来たい」と思える心地よさと、スタッフがスムーズに動ける導線。この2つがうまくかみ合えば、坪単価もグッと活かせるお店になります。

事例2.10坪飲食店における売上低迷の例

売上低迷の原因は、「家賃に見合う売上目標を立てられてなかった」ケースが多いんです。

たとえば、都心の小規模店舗で坪単価が3万円以上だったのに坪売上が20万円いかないケース。気づけば家賃が売上の半分近くを占めてた…なんてこともあり得ます。

原因として多いのが、「ここならいける!」と選んだ立地が思ったより人が来なかったり、競合が多かったりするパターンです。結果、集客がうまくいかなくなるんですね。

とくに都心で坪単価が高いお店だと、坪売上が20万円を下回ると経営はかなりシビア。だからこそ、出店前に立地を見極め、集客戦略を練ることが不可欠です。

数字ベースで現実的なシミュレーションをしておくことが大切です。

飲食店での資金計画の立て方・店舗坪単価の相場

「坪単価」や「家賃と売上のバランス」を把握しておくと、無駄のない資金配分ができます。

  • 飲食店の開業資金内訳
  • 坪単価比率との関係性
  • 【シミュレーション】売上に見合う店舗家賃の決め方

詳しく見ていきましょう。

飲食店の開業資金内訳

開業資金は、大きく以下の5つに分けられます。

飲食店の開業資金内訳
  1. 物件取得費:物件を借りるときの費用(敷金・礼金・仲介手数料)
  2. 内装工事費:お店の内装を作る費用(設計や工事代)
  3. 設備費:キッチン機器や家具、備品など
  4. 運転資金:仕入れや人件費、広告費など、開業後数ヶ月分の資金
  5. 許認可の申請費用・その他費用

お店の坪単価は、内装費や家賃に大きく左右されます。そのため、開業資金内訳を正確に知ったうえで計画を立てるのが大切です。

坪単価比率との関係性

開業資金の中で、坪単価がどのくらいの割合を占めているか?を知っておくと計画的な資金繰りができます。

たとえば内装工事の費用は「坪単価×坪数」で計算したうち、総開業資金の3割〜4割程度が理想的です。

坪単価比率との関係性
  • 内装工事費の計算例:10坪の店舗・坪単価50万円の場合 → 内装工事費は500万円(=50万円×10坪)
    理想的な内装工事費の目安:総開業資金1,000万円なら → 300万円~400万円(3割~4割)

家賃は毎月かかる固定費ですが、坪単価が高すぎると資金計画がキツくなります。そのため飲食店の場合、家賃は売上の10%を超えないように目安を立てるのがおすすめです。

【シミュレーション】売上に見合う店舗家賃の決め方

店舗の家賃は、立地や雰囲気で決めがちです。しかし、「売上とのバランス」を把握したうえで考えることが大事になってきます。

たとえば、月の売上が350万円〜450万円のお店では、家賃は70万円〜90万円くらいに収まっているのが理想的なライン。目安として、10坪の物件を借りるときは、坪単価は7,000円〜9,000円くらいに抑えられるとベストです。

シミュレーションで見てみましょう。

①坪単価 15,000円の物件(10坪)を借りた場合

家賃:15,000円 × 10坪 = 150,000円  月商:3,500,000円  家賃比率:150,000円 ÷ 3,500,000円 ≒ 約4.3%

家賃比率は低めなので、そこまで経営の負担は大きくありません。

②坪単価 30,000円の物件(10坪)を借りた場合

家賃:30,000円 × 10坪 = 300,000円  月商:3,500,000円  家賃比率:300,000円 ÷ 3,500,000円 ≒ 約8.5%

家賃だけで売上の1割近くです。固定費がかなり重くのしかかり、利益率にも直接響いてしまいますよね。

このように、同じ広さでも坪単価が2倍違うと、家賃負担も2倍になります。物件選びの際は「坪単価×広さ=月額家賃」をしっかり計算しておくことが大切です。

なんとなくの感覚ではなく、数字を使って冷静に判断することで、長く安定した経営につながります。

まとめ

飲食店の坪単価は、業態・地域・内装費・家賃の影響に左右される大事な数字です。自店の坪単価や坪売上が市場と比べてどうなのかを知っておくと、今後の経営にも役立ちます。

信頼できる内装業者を選んで、家賃の負担が重くならないように意識することで利益を出せるお店づくりが目指せるでしょう。

「この家賃でどのくらい売上が必要?」といったバランスをシミュレーションしながら、数字をもとに戦略を立てていってください。ちょっとした準備の差が、将来の安心経営につながります。

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この記事を書いた人

飲食店集客.comの代表で、普段はSEOコンサルタントとして活動中。Webメディアを活用した集客を得意としており、2012年から業界に従事。趣味は飲み歩き、好きなお酒はラフロイグ。

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