オウンドメディアは、多くの企業で取り入れられている代表的なWebマーケティング施策です。アパレル業界においては、SNSやECサイトとオウンドメディアを連携させた事例が目立ちます。
本記事では、アパレル業界のオウンドメディアにおける15の成功事例をもとに、運営で成果を出すコツを紹介します。自社のオウンドメディア構築を検討している方や、Webマーケティングの効果を高めたいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
アパレル企業がオウンドメディアを運営すべき2つの理由
アパレル企業がオウンドメディアを運営すべき理由は以下のとおりです。
- 継続的な集客力がある
- 企業・ブランドの「ファン」を育成できる
それぞれの詳細を、SNSとの性質の違いをふまえて解説します。
継続的な集客力がある
オウンドメディア上で発信する記事コンテンツは、検索エンジン経由でユーザーの目に長期間触れ続けます。一度アップした記事が、継続的に集客ツールとして機能することが特徴です。
オウンドメディアとSNSの主な違いは以下のとおりです。
オウンドメディア | SNS | |
コンテンツの寿命 | 長い | 短い |
速報性 | △ | ◎ |
拡散性 | × | ◎ |
施策の即効性 | なし | あり |
集客ツールとしての特徴 | 長期的・継続的 | 短期的・単発的 |
発信すべき情報の種類 | 長期的にニーズがある情報 | タイムリーな情報 |
オウンドメディア運営に即効性はありません。しかし、投稿したコンテンツの蓄積が、最終的には大きな集客効果を発揮します。
オウンドメディアとSNSそれぞれの特徴をふまえ、目的にあわせて情報発信媒体を使い分けることで、効率的なWebマーケティングが実現します。
企業・ブランドの「ファン」を育成できる
オウンドメディアは、単に商品の魅力を伝えるだけではなく、ブランドの世界観や企業のビジョンなどを幅広くアピールすることに適しています。オウンドメディアとSNSそれぞれの特徴は以下のとおりです。
オウンドメディア | ・内容の濃い情報を発信できる ・ブランドの世界観を表現しやすい ・顧客の愛着や信頼感を醸成しやすい |
SNS | ・運用のハードルが低い ・情報の伝播性が高い ・潜在層へリーチしやすい |
アパレル業界で売上を向上させるためには、ブランド・企業のファンを増やし顧客をリピーター、ひいてはロイヤルカスタマーへと育てることが重要です。SNSの拡散力を利用して認知を拡大しつつ、集客した顧客をオウンドメディアで育成・ファン化させる。
このように、顧客の購買フェーズにあわせた情報発信を行うことで、Webマーケティングの成果向上が見込めます。
アパレル業界のオウンドメディア成功事例15選
以下では、アパレル業界におけるオウンドメディアの成功事例を紹介します。Google検索からの流入数が多い15のメディアをピックアップしたため、ぜひ参考にしてください。
B CULTURES
参考ポイント
- 記事一つひとつのクオリティが高い
- ブランドの世界観やストーリーを伝える情報が多い
日本の人気ファッションブランド「BEAMS」が運営するオウンドメディアです。ファッションに関するトピックはもちろん、世界のカルチャー情報を幅広く発信しています。
ブランディングを主目的としたオウンドメディアの好事例です。
Onitsuka Tiger MAGAZINE
参考ポイント
- 洗練された写真が多く、ブランドや商品の特徴が一目で分かる
- タブを切り替えるだけで商品販売ページにアクセス可能
株式会社アシックスのブランド「オニツカタイガー」が運営しているオウンドメディアです。さまざまな芸能人がオニツカタイガーの商品を着用したルックブックを、インタビューとあわせて掲載しています。
ブランディングはもちろん、販促にも大きく貢献しているメディアです。
TODAY’S PICK UP
参考ポイント
- 商品やコーディネートを実用的な視点から紹介している
- 社会貢献に関するニュース記事へのアクセス数が多い
TODAY’S PICK UPは、ユニクロが運営しているオウンドメディアです。ユーザーが自社商品を日常的に活用するためのヒントを提供しています。
売上だけではなく、社会的な企業価値の向上にも寄与しているメディアだといえます。
STYLE HAUS
参考ポイント
- 特定のアイテム(バックや財布など)を探しているユーザーの検索流入が多い
- 商品販売ページへのスムーズな導線が確保されている
海外通販「BUYMA」を運営している株式会社エニグモのオウンドメディアです。世界中のトレンドや話題のブランドなど、リアルなファッション情報を発信しています。
売上向上を図るうえでお手本となるメディアです。
SHIPS MAG
参考ポイント
- メディア全体の雰囲気や品質は有料雑誌に引けを取らない
- ワンクリックで商品購入ページへ遷移できる
老舗セレクトショップ「SHIPS」が運営するオウンドメディアです。SHIPSを利用する顧客層に合わせ、「MEN」「WOMEN」「KIDS」それぞれのカテゴリーで情報を発信しています。
ブランディングと売上向上の双方に貢献しているメディアだといえます。
FASHION HEADLINE
参考ポイント
- デザインや文章がシンプルで、ユーザーの情報収集を妨げない
- ハイブランドの情報を網羅的に収集可能
三越伊勢丹グループの広告代理店が運営するオウンドメディアです。ファッション業界における最先端の情報を、いち早く提供するニュースサイトとして機能しています。
トレンド情報の提供を中心としつつ、オンラインストアへのスムーズな導線も確保されています。
LUMINE MAGAZINE
参考ポイント
- 独自性の高い企画やインタビュー記事が多い
- 更新頻度が高く、リピート訪問者を飽きさせない
駅ビル型ショッピングセンター「ルミネ」が運営するオウンドメディアです。ファッションや食、アート、ライフスタイルなど、日常生活を豊かにする情報を幅広く提供しています。
「ここにしかない」情報を得られる唯一無二のメディアです。
ULLR MAG.
参考ポイント
- 日常生活における疑問や興味・関心に応えるコンテンツが豊富
- 複数のキーワードで検索結果上位を獲得している
複数のスポーツウェアブランドを展開する株式会社デサントのオウンドメディアです。ファッションやスポーツに関する情報を、実用的な視点から発信しています。
潜在層への認知拡大を実現しているメディアだといえます。
WACOAL BODY BOOK
参考ポイント
- 商品の訴求よりもターゲットのニーズを満たすことを優先している
- 更新頻度が高く、季節性のある悩みへ先回りして情報を発信している
日本の大手総合下着メーカー「ワコール」のオウンドメディアです。下着の情報だけではなく、運動や食事、美容といった女性に役立つ知識を幅広く提供しています。
リピーター訪問者を増やすメディア作りの参考になるでしょう。
DOOR
参考ポイント
- 靴を探して検索流入したユーザーを、スムーズにECサイトへ誘導している
- 販促目的の情報と、ブランディング目的の情報をバランスよく発信している
靴小売大手のABCマートが運営するオウンドメディアです。シーンに応じた靴の選び方をはじめ、有名人へのインタビューやファッション情報などを提供しています。
読み物としての品質が高いメディアです。
MIKI HOUSE
参考ポイント
- 忙しいママに配慮したライトな記事が豊富
- 直接的な売上向上要素は少なく、ユーザーニーズを満たすことを優先している
ベビー服・子供服の定番ブランド「ミキハウス」が運営するオウンドメディアです。妊娠・出産・子育てに関する有益な情報を幅広く提供しています。
販促よりもミキハウスのファン獲得を目的として運営していることが伺えます。
OMG Press
参考ポイント
- 「眼鏡屋監修」の専門的な情報が豊富
- 独自性の高い情報が多く、競合他社との差別化を実現している
複数のメガネブランドを展開するオーマイグラス株式会社のオウンドメディアです。メガネの選び方やメンテナンス方法、目の健康に関するコンテンツを発信しています。
検索流入によって、多くの潜在層への認知拡大に成功しているメディアです。
D COLLECTION
参考ポイント
- 情報が分かりやすくカテゴリ分けされている
- ターゲット層を絞り込んだうえで知識を網羅的に提供している
30代・40代向けメンズファッションのECサイト「D COLLECTION」が運営するオウンドメディアです。洋服の着こなしに関する詳細な情報を発信しています。
同じターゲット層へ向けたコスメメディアも同時に運営中です。
THE STYLE GUIDE
参考ポイント
- 対策キーワード「ブランド名」で多くの検索流入を獲得している
- 通販で生じやすいFAQが記事としてまとめられている
世界各地のブランドやセレクトショップ、百貨店の商品を販売するマーケットプレイス「FARFETCH」のオウンドメディアです。ハイブランドの商品情報を中心に発信しています。
集客経路として非常に大きな役割を担っているメディアです。
PLIQUA BOOK
参考ポイント
- 記事コンテンツでは深い知識を中心に発信している
- ビジュアル要素の強い情報発信はInstagramを活用している
パーティドレス通販専門の株式会社プリカが運営するオウンドメディアです。結婚式や入学・卒業式、同窓会など、行事における洋服の着こなし方について情報を提供しています。
オウンドメディアとSNSの相乗効果を狙えている事例です。
アパレル業界のオウンドメディアで成果を出すポイント
アパレル業界のオウンドメディアを運営する際、確実に押さえておきたいポイントは以下の2点です。
- ユーザーのニーズに応えるコンテンツを発信する
- ECサイトへのスムーズな導線を設計する
それぞれ詳細を解説します。
ユーザーのニーズに応えるコンテンツを発信する
ターゲットユーザーの不安や疑問、興味・関心に応えるコンテンツを制作することが最も重要です。ユーザーを満足させるコンテンツを発信し続けることでSEOが強化され、その結果として長期的な集客効果を得られます。
ブランドの世界観を重視する意識が強すぎると、発信する情報が企業側の視点に偏る可能性があります。ブランド・企業への信頼感を醸成するためにも、ユーザー目線でのコンテンツ制作を心がけましょう。
ECサイトへのスムーズな導線を設計する
顧客の購買意欲が高まったタイミングを逃さないために、ECサイトへの導線をスムーズに設計しましょう。ワンクリックで商品購入ページへ遷移できれば、ユーザーの離脱を最小限に抑えられます。
成功事例で紹介したとおり、ECサイト一体型のオウンドメディアを運営している企業も多く存在します。ユーザビリティの観点からも、ECサイトとオウンドメディアの連携によって顧客へ負担をかけない工夫が必要です。
まとめ:アパレル業界のオウンドメディアは長期目線で運営を
本記事では、アパレル業界におけるオウンドメディアの成功事例を紹介しました。アパレル企業が生き残りを図るうえでは、オウンドメディアを利用して企業価値を高め、ブランドのファンを増やすことが重要です。
オウンドメディアを活用したブランディングは、一朝一夕では実現しません。しかし、長期的な視点での地道な取り組みはECサイトやSNSとの相乗効果を生み、ひいては継続的な売上向上につながります。
ブランドの世界観を大切にしつつ、ユーザー目線でのコンテンツ制作を心がけることで、オウンドメディア運営を成功に導きましょう。