地方の田舎で事業を営んでいると、集客課題がのしかかります。新規顧客を獲得できない、大きな予算をかけられないなど、田舎ならでの悩みもあるでしょう。
そこで考えたい手法が「エリアマーケティング(地域集客」です。
エリアマーケティング(地域集客)とは、対象を特定の地域に絞り、年齢層や文化を踏まえてアプローチを取る手法。ターゲットの細かいニーズを把握すると心に響く集客方法が展開でき、売上が伸びやすくなります。
今回はエリアマーケティングの大まかな流れと具体的な手法を分かりやすく紹介します。地元からもっと愛されたい経営者様、必見ですよ!
エリアマーケティング(地域集客・田舎集客)における4つのステップ
エリアマーケティングとは、地域(エリア)の特性に基づいて集客を図る手法です。
例を挙げると、学生の多いエリアで効果があった施策が、高齢者が多いエリアでも同じような反応が得られるとは限りませんよね。地域の顧客層や需要を把握したうえでマーケティングを実行することで、売上が大きく変わるのです。
具体的な集客方法はのちほど説明するので、まずはエリアマーケティングの基本的なステップを理解しましょう。
- 候補地のデータを収集する
- 商圏を設定する
- ターゲット層を分析する
- 広告戦略を立てる
候補地のデータを収集する
現段階では商圏を絞らずに、候補地のデータを収集します。具体的には以下のような情報を集めます。
- 人口、世帯数
- 年齢分布
- 交通量やアクセス
- 地形や気候
- 文化、歴史
- 政策
- 教育機関
- 特産物、名産品
- 主要施設、観光スポット
手始めに「国勢調査 + ○○区」で検索してみてください。世帯数や就業状態などの情報が無料で手に入ります。
また、競合店の位置もマッピングしておくと、ビジネスチャンスやリスクを予測しやすくなるのでおすすめです。
商圏を設定する
集客対象とするエリア(商圏)を決定します。
飲食店やスーパーなど徒歩で来店する方が多い場合、徒歩5分程度が目安です。ただし、業種や地理によって適切な範囲が異なるため注意が必要です。
意識したいのは「商圏バリア」、つまりターゲットが移動する際に感じる障壁です。たとえばマイカー所持率が低いエリアでは、川や坂道・線路があると「徒歩では来ないかもしれない」「他の店舗へ行ってしまうだろう」と考えます。
単純な距離だけでなく、移動手段や地形、ステップ1で集めた情報も考慮して商圏を設定しましょう。
ターゲット層を分析する
設定した商圏内のターゲット層をより詳しく調査しましょう。
- 年齢層
- 性別比率
- 家族構成
- 職業
- 収入
- 通勤・通学先
- 行動パターン(生活様式)
国勢調査のデータを活用すれば「丁目」単位で世帯数や昼間人口なども把握可能ですよ。
広告戦略を立てる
分析結果をもとに具体的な広告戦略を立てましょう。ただ実行するだけでなく、効果検証を行い、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
たとえば新聞の折り込みチラシを配布して、反応が良ければさらに予算を増やしてみましょう。反応が薄ければ、時間帯や曜日を見直す必要があります。
マーケティング施策が地元の皆さんにどう受け取られているかを意識しながら、柔軟に対応していきましょう。
エリアマーケティング(地域集客・田舎集客)の具体的な手法7選
エリアマーケティングで特に効果が高いとされる手法は以下のとおりです。
- Googleマップで上位表示を狙う(MEO対策)
- オウンドメディアを運用する(SEO対策)
- SNSを運用する(X・Instagramなど)
- エリアを絞ってWeb広告を運用する
- チラシ・DMを配布する
- 電車内広告を出稿する
- 地域特化型の商品を展開する
それぞれの手法にはメリット・デメリットがあります。地域の特性に合わせて、最適な手法を考えてみましょう。
Googleマップで上位表示を狙う(MEO対策)
メリット | デメリット |
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来店意欲の高いお客様を集客できる 店舗系の事業と相性がよい | 口コミを集めなければいけない BtoBにはやや不向き |
Googleマップでお店を探すユーザーは意欲が高く、来店や予約・問い合わせなど実際のアクションを起こす傾向があります。正しくMEO対策を施せば上位表示される可能性が高まり、大幅な売上アップも期待できます。
特に飲食店や不動産会社・美容関係との相性がよいため、ぜひ取り組んでみてください。
「MEO対策は経験・知識がないと難しい」と思っているかもしれません。しかしエリアが絞られる分ライバルも少なくなるため、中小企業や個人経営店でも十分に勝つチャンスがあります。
ただし、ランキングは口コミの数や評価によって左右されるため、口コミが増えにくい業種ではあまり集客効果が期待できません。特に「実店舗がない」「BtoBがメイン」に当てはまる場合は他の手法を検討したほうがよいでしょう。
参考>>【MEO対策】不要って本当?効果が出ない原因と悪徳業者の見極め方
オウンドメディアを運用する(SEO対策)
メリット | デメリット |
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潜在客にもアプローチできる 自社スタッフで運用すればコストを抑えられる | 専門知識が必要 外注する場合は費用が高額 |
自社サイトやブログに地域に関連するコンテンツを投稿しましょう。「地域のイベント情報」や「地元の魅力」を紹介する記事を書くと、地域住民だけでなく観光客の関心も引き、サイトへのアクセスを増やせます。
オウンドメディアは、自社スタッフで運用すればコストを抑えられる点が大きなメリットです。文章を書くのが得意な従業員がいるなら、任せてみてはいかがでしょうか。
しかし、検索結果では大手企業やポータルサイトが上位を占めており、専門知識を持たない状態では10位以内に入るのは厳しいでしょう。
SEO対策を本格的に進めるなら外注を検討する必要がありますが、高額な費用がかかってしまいます。予算が限られている場合は、比較的低コストで依頼できるMEO対策に注力するのがよいかもしれません。
参考>>【個人事業主向け】自分でできるSEO対策7選とよくある課題を解説
SNSを運用する(X・Instagramなど)
メリット | デメリット |
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無料で取り組める 拡散力が高い | 他のアカウントに埋もれる恐れがある フォロワーとの交流が必要 |
X(旧Twitter)やInstagramはマス向けのSNSというイメージがあるかもしれません。しかし、ターゲットやコンセプトを設定したうえで発信を継続すれば効率的に集客できます。
たとえばXは「◯◯市に住んでいる方とつながりたいです」と発信すると、その投稿を見たユーザーがリポスト(拡散)し、同じような境遇の人とつながれます。
そして、普段の発信や交流を通じ関係性を構築することで、顧客になってくれる可能性もあります。
Instagramも同様。適切なハッシュタグを設定する、高い維持率のリール動画を作成するなどの工夫が必要ですが、爆発的に拡散される可能性を秘めています。
エリアを絞ってWeb広告を運用する
メリット | デメリット |
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ピンポイントでアプローチできる 反応率も上がりやすい | 出稿費用がかかる エリア設定を誤ると見込み客を逃がしてしまう |
ユーザーの現在地や居住地に合わせて配信するWeb広告サービスを「ジオターゲティング広告」と言います。「位置情報広告」や「エリアターゲティング広告」とも呼ばれています。
郵便番号や半径など商圏内での配信に加え、「お店の近くを通った人」「特定の施設に来た人」「特定の駅を利用した人」などの設定も可能です。
ピンポイントでアプローチできるためコストを抑えられますし、反応率も上がりやすいです。
ただし、地域を限定して広告を出すため、ユーザーが指定範囲に入らない限り広告を配信できません。エリア設定を誤ってしまうと、本来呼び込めるはずの見込み客を逃してしまうでしょう。
チラシ・DMを配布する
メリット | デメリット |
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年配層にアプローチできる リピート率の向上や休眠会員の掘り起こしに有効 | すぐ捨てられる可能性もある デザインやメッセージ性が必要 |
新聞の折り込みチラシは、町丁目ごとに細かくエリアを設定できる点が魅力です。たとえば、新規開店の告知やセール情報を掲載したチラシを配布すると、地域住民に直接アプローチできます。
DMは、自社サービスを購入した経験のある方や資料請求を希望した方など、個人情報を入手している方が対象となります。リピート率向上や休眠会員の掘り起こしに有効です。
どちらも紙媒体のため、スマートフォンやパソコンが使えない、または使いこなせない層に対してアピールできる点が大きなメリットです。
しかし、興味がなければすぐに捨てられてしまうため、宣伝費用がかかる割に効果が出にくいのがネックです。目を引くデザインや心に響くメッセージなど、最後まで読んでもらうために工夫が求められます。
電車内広告を出稿する
メリット | デメリット |
---|---|
単純接触効果が期待できる 近くの沿線に出稿すると効果的 | 審査が厳しい傾向 修正対応などが必要 |
電車やバス内の広告、ふとした瞬間に目に入りますよね?
車内のポスター・モニターは自然と視界に入るうえに、ほぼ毎日接触することで少しずつ好意が高まる効果(単純接触効果)が期待できます。特に店舗近くの沿線を選べば、来店や購入につながりやすいです。
ただし、電車内広告は他の広告に比べて審査が厳しい点には注意してください。OKが出るまでに何度も修正が求められ、掲載までに時間がかかることがあります。すぐに広告を開始したい場合には向かないでしょう。
地域特化型の商品を展開する
メリット | デメリット |
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限定性を創出できる 他社との差別化にもつながる | 見込み客が限られる 売上が頭打ちになる可能性も |
地域のイベントや特産品とのコラボレーションも、エリアマーケティング手法のひとつです。
たとえば、地元の果物を使ったスイーツを開発するとしましょう。「このエリアでしか買えない」「このブランドでしか買えない」と限定性をアピールすると、訴求力が高まります。
自社と地域の強みをうまく活かして、地域に密着した商品やサービスを提供しましょう。
ただし、エリアを限定しているため、見込み客数が限られているリスクも考慮しなければいけません。売上が頭打ちになる可能性もあるので、「他のエリアでも展開する」「新商品を定期的に投入する」などの長期的な計画を立てたほうがよいでしょう。
エリアマーケティング(地域集客・田舎集客)の成功事例
エリアマーケティング(地域集客・田舎集客)の成功事例を3つ紹介します。
- 新潟在住のSEOディレクター「つるけん」
- 新潟在住のフォトグラファー「ゆうフォト」
- 新潟在住の便利屋「ありがとう、あべさん。」
3人とも地方都市である新潟県民。SNS運用やYouTube運用など、それぞれが異なる媒体を活用し集客につなげています。
少しでも参考になれば幸いです。
新潟在住のSEOディレクター「つるけん」
- SEO対策
- オウンドメディア運用
- X運用
当サイト(新潟SEO情報局)は、現役SEOディレクターのつるけんによって運営されています。
「新潟のSEO案件を獲得したい」という目的からホームページを立ち上げ、Xの運用も開始。新潟市在住のSEOディレクター×フリーランスとして定期的に投稿を続けた結果、3ヶ月ほどでSEOコンサルの申し込みをいただきました。
その後、「SEO対策+新潟」のキーワードでも上位表示させることに成功。Xやホームページを見た方から、相談をいただく機会も増えています。
新潟在住のフォトグラファー「ゆうフォト」
- MEO対策
- Instagram運用
- Instagram広告運用
新潟のロケーション撮影を専門として活躍している、フォトグラファーの「ゆうフォト」。情報局の一員でもあり、地域集客の力を入れた結果、売上も倍増。
独立当初は「カメラでご飯を食べていくなんてムリ…」と嘆いていましたが、撮影会は毎回すぐ満席、オリジナル商品「季節の思い出ブック」も大好評と、すっかり売れっ子フォトグラファーに。
ゆうフォトが注力したのはInstagram運用です。専門性やコンセプトが一目でわかるようタイムラインを整え、プロフィールからの導線も設計。
また、エリアを絞ってInstagram広告を配信することで、イベントへの集客も加速しました。
新潟在住の便利屋「ありがとう、あべさん。」
- MEO対策
- チラシ配布
- YouTube運用
- 掲示板活用
草刈りや掃除、引っ越しの手伝いなど、便利屋として活動している「ありがとう、あべさん。」
サービス開始当初は掲示板(ジモティー)を活用し、草刈りの依頼を獲得。安定して依頼をいただけていたものの、より集客数を増やすため、実験としてYouTubeを運用してみることに。
不特定多数にアプローチする媒体ですが、再生回数が1万〜3万を超える動画が複数生まれ、そこから依頼につながっています。
また、ネットニュース(ねとらぼ)にも取り上げられ、知名度も向上。草刈りの依頼が殺到するようになりました。
まとめ
地域ならではの特徴を理解していれば、コストを抑えながらも、より多くのお客様を集められます。
紹介した手法の中から実践しやすいものを選び、ぜひ実行に移してみてください。