全国の美容室数は令和4年度時点で「269,889施設」と、過去最高を更新しました。競合が増加している中、自社の存在を認知してもらうためには適切なWeb施策が欠かせません。
美容室のWeb集客を効率化させる手段のひとつが「SEO」です。適切なSEO対策は、自社のブランド価値を向上させ、外部の手段に依存しない集客を実現します。
そこで本記事では、SEOで取り組むべき具体策を美容室向けにまとめました。来店数を増やして売上の向上につなげたい美容業界の方は、ぜひ参考にしてください。
美容室のSEO対策における必須キーワード
SEO対策の最重要事項は、適切なキーワードを選定することです。美容室が必須で取り組みたいキーワードには、以下のようなものがあります。
- 地域名
- メニュー名
- 美容室の特徴
- ターゲット層
- ユーザーの悩み
具体例とともに詳細を解説します。
地域名
地域を含むキーワードは「今すぐ客」が最も検索しやすいキーワードなので、最優先で対策しましょう。
- 盛岡市 美容室
- 美容院 代々木八幡
- 南浦和 ヘアサロン
地域を含むキーワードは、大手ポータルサイトが軒並み上位表示を獲得しています。その中で個人の美容室が戦うためには、MEO(ローカルSEO)と並行することが重要です。
メニュー名
美容室に行く目的が明確化しているユーザーに向けて、具体的なメニュー名をキーワードに設定することも有効です。
- 川口 美容室 髪質改善
- 縮毛矯正 我孫子
- ヘアサロン 平塚 トリートメント
店舗の提供サービスと合致するキーワードを採用し、自社と相性のよいユーザーの集客を目指しましょう。
美容室の特徴
自店舗の強みや特徴をキーワードに取り入れることで、特定のニーズを持つユーザーにリーチできます。
- 山形市 美容室 夜
- ヘアサロン 上尾 予約なし
- 国分寺 美容院 女性スタッフ
多くの競合の中で上位表示を獲得するためには、ニッチな需要に応える戦略が重要です。今一度自店舗の強みを洗い出し、差別化になり得るキーワードを探ってみましょう。
ターゲット層
集客したいターゲット層を明確にしたキーワードは、美容室の強みを訴求する意味でもおすすめです。
- 美容室 メンズ 鶴見
- ヘアサロン 大宮 大学生
- 南船橋 美容院 子供
在籍美容師が得意とするスタイルをもとに、ターゲットを検討するのもよいでしょう。
ユーザーの悩み
髪や美容室に関連するユーザーの悩みを想定し、解決に導くコンテンツを作成します。問い合わせには直結しにくいものの、潜在層にリーチを拡大できることがメリットです。
- 縮毛矯正 断られた
- ヘアカラー 痛む 頻度
- カット やり直したい
ユーザーに役立つ情報を提供することで、美容室の信頼感を醸成する効果もあります。
美容室のSEO対策でホームページに掲載すべきコンテンツ
美容室のホームページに掲載することで、SEO評価の向上に貢献するコンテンツ例は以下のとおりです。
- メニュー・料金
- 最新情報・キャンペーン情報
- ヘアカタログ
- スタッフ紹介
- 店舗基本情報
- 店舗の写真
- FAQ
- ブログ記事
それぞれ詳細を見ていきましょう。
メニュー・料金
メニューと料金は、美容室を検討するユーザーが最も知りたい情報の1つです。以下のポイントをおさえ、分かりやすい記載を心がけましょう。
- メニューごとにページを分けて「1ページ1キーワード」で作成する
- メニューを細分する(例:ヘアカラー「ブリーチ」「白髪染め」「マニキュア」)
- 全メニューの費用一覧を用意する
情報の探しやすさや見やすさを、ユーザー目線で確認することが大切です。
最新情報・キャンペーン情報
情報の鮮度を保つことは、SEO評価の向上はもちろん、美容室の信頼性向上にもつながります。
- 新メニューや新商品に関する情報
- 季節性の高いキャンペーン情報(入卒式・新年度・クリスマスなど)
- 美容室の周年限定サービスの案内
定期的にコンテンツを更新し、常に最新情報を発信できる体制を整えましょう。
ヘアカタログ
具体的なヘアスタイル案を提供することで、視覚的な訴求力が高まります。「カットスタイル別」「カラー別」「年代別」のようにカテゴリを分け、情報を探しやすくすることが大切です。
画像を多く掲載すると、ユーザーのサイト滞在時間の増加が狙えます。結果としてGoogleからも「有益なサイト」と解釈されやすくなり、SEO評価の向上につながります。
スタッフ紹介
ユーザーの不安を解消し、来店のハードルを下げるうえで、スタッフ紹介ページは必須です。
- 氏名・顔写真
- 経歴
- プロフィール情報(出身地・性格・趣味など)
- 得意なヘアスタイル
スタッフが店舗のブランディングにつながることも多いため、戦略的に取り入れたいコンテンツです。
店舗基本情報
情報の発信元を明記することは、SEO対策の基本です。店名や所在地などの基本情報は、詳細かつ正確に掲載しましょう。
重要ポイントは、ポータルサイトやSNSとのNAP表記(店名・住所・電話番号)を一致させることです。文字や記号、空白などの表記方法が異なっていると、Googleに同じ店舗だと認識されず、適切なSEO評価を得られません。
英数字の半角・全角も含め、細かな書き方を統一しましょう。
店舗の写真
店舗の雰囲気や清潔感をアピールするために、外観や内装の写真を充実させましょう。
画像を掲載する際は、画像データのファイルサイズに注意が必要です。データの読み込みに時間がかかると、SEO評価に悪影響を及ぼします。画像の圧縮や形式変換により、ファイルサイズを調整することが大切です。
FAQ
よく寄せられる質問と回答をまとめたFAQページを作成することで、ユーザーの来店に対する懸念を払拭できます。
- 予約なしで来店してもよいですか?
- 美容師の指名はできますか?
- 営業時間外でも対応してもらえますか?
- スタイルのお直しは可能ですか?
- 着付けやヘアメイクをお願いできますか?
「利用に関して」「メニューに関して」などカテゴリ別にFAQを整理し、ユーザーの利便性を高めることが大切です。FAQはSEO上も有利に働くコンテンツなので、対策キーワードを含めつつ積極的に取り入れましょう。
ブログ記事
ユーザーの悩み・疑問を解決するブログ・コラムを作成することで、上位表示の可能性が高まります。Googleは、ユーザーにとっての有益性を重視してサイトを評価するためです。
- 眉毛のお手入れ方法・似合わせ方
- 抜け毛や頭皮のニオイの解消法
- 枝毛の予防と対策
- くせ毛解消におすすめのメニュー
記事のトピックは、上位表示を獲得しやすい(検索ボリュームが小さい)キーワードを狙って選定することをおすすめします。
予約フォーム
機会損失を防ぐため、Webから予約が完結する専用ページは欠かさず設置しましょう。予約フォームは、ユーザーの使いやすさを重視して作成することが大切です。
- 選択式の回答のみで入力が完結する
- どのページからでも予約フォームに遷移できる
- スマホに最適化されている
とくにフォームの「見つけやすさ」は重要なので、スクロール追従型のボタンを採用することも有効です。
美容室がSEO対策と並行すべきMEOのポイント
MEOとは、Googleマップ検索において自社情報の表示を最適化させ、集客につなげる施策のことです。美容室のような地域密着型ビジネスにおいては、MEO対策が集客力向上の鍵を握ります。
MEO対策の具体的な手順・ポイントは以下のとおりです。
- Googleビジネスプロフィールを登録する
- 店舗の基本情報を正しく設定する
- 写真・動画を充実させる
- 口コミを収集・管理する
それぞれの詳細を解説します。
Googleビジネスプロフィールを登録する
Googleマップに自社情報を表示させるためには、Googleビジネスプロフィールの運用が必要です。まずは、マップ検索で自社の情報が表示されるかどうかを確認しましょう。
すでに店舗情報が表示されている場合は、オーナー認証を済ませることで運用を開始できます。
検索しても店舗情報が表示されない場合は、新たにGoogleビジネスプロフィールを登録しましょう。
店舗の基本情報を正しく設定する
オーナー認証が完了したら、店舗の詳細情報を設定します。
- 店名・住所・電話番号:公式サイトやSNSと情報を一致させる
- 営業時間:通常時の開店・閉店時間や祝休日の営業時間を正確に入力する
基本情報を誤って設定すると、ユーザーの来店機会を阻害したり、ネガティブな口コミにつながったりする危険性があります。情報の正確性にはこだわりましょう。
写真・動画を充実させる
店舗やヘアスタイルの写真を掲載することで、視覚的な訴求力が増します。
写真・動画はユーザーからも投稿されますが、オーナー提供の写真もできる限り充実させましょう。
口コミを収集・管理する
美容室の集客効果に多大な影響を与えるのが「評価(口コミ)」です。良質な口コミは一朝一夕では集まりません。以下の施策を参考に、長期的な視点で取り組みましょう。
- 利用者に直接口頭でお願いする
- 店内に口コミ依頼のPOPやポスターを掲示する
- SMSで口コミ依頼を送信する
収集した口コミには可能な限り返信し、ユーザーとのコミュニケーションを図ることが大切です。
美容室のSEO対策の効果を高める5つのポイント
美容室のSEO対策の効果を最大化させるポイントは以下のとおりです。
- 対策キーワードは必ずタイトルに含める
- 内部リンク構造を整える
- ホームページの利便性や安全性を確保する
- ポータルサイトを活用する
- SNSを運用する
それぞれ詳細を見ていきましょう。
対策キーワードは必ずタイトルに含める
適切なSEO評価を得るためには、Googleに各ページの内容を正しく認識させる必要があります。タイトルには、対策キーワードを必ず含めましょう。
- 30文字前後で設定する
- 対策キーワードは可能な限り先頭部へ配置する
- 不要な情報を詰め込まない
- オリジナリティを意識する
まずは、サイト内の各ページのタイトルが最適化されていることを確認しましょう。
内部リンク構造を整える
内部リンクとは、サイト内の関連ページ同士をつなぐリンクのことです。内部リンク構造を整えると、ユーザーの回遊率が高まり、結果的にGoogleからもよい評価を得やすくなります。
- 重要なページにリンクを集める
- アンカーテキスト(リンクが設定されているテキスト)は、リンク先の内容を端的に示す
- サイトマップ(サイトの全体構造を伝えるマップ)を用いる
- パンくずリスト(現在地を示すナビゲーション)を設定する
内部リンクの最適化には、Googleのクローラー(Webページ収集プログラム)の巡回を促す効果もあります。適切にサイトを評価してもらううえで、まずは関連コンテンツ同士をつなぐことから始めましょう。
ホームページの利便性や安全性を確保する
サイト全体の利便性や安全性を向上させることも、大切なSEO施策のひとつです。とくに以下のポイントは最優先で対策しましょう。
- ページの読み込み速度を速める(2.5秒以内)
- スマホで閲覧した際の見やすさ・読みやすさ・操作性のよさを保つ
- HTTPS(SSL対応)で接続の安全性を確保する
SEO評価の面ではもちろん、ユーザーの満足度を高めるうえで必ず実施したい施策です。
ポータルサイトを活用する
美容室を探しているユーザーの大多数が「ポータルサイト」を利用しています。個人の美容室の認知を拡大するうえでは積極的に活用すべきでしょう。
- ホットペーパービューティー(有料)
- 楽天ビューティー(有料)
- エキテン(無料)
- HAIRLOG(無料)
ただし、近年ではポータルサイト内の競争も激化しています。外部の集客手段のみに依存せず、公式サイトのSEO対策を並行して双方のメリットを生かすことが大切です。
SNSを運用する
SNS運用は、美容室の認知拡大に適した手段です。SNSによってサイテーション(Web上で自社が言及されること)を獲得できれば、SEO効果の向上も期待できます。
おもなSNSと特徴
・写真の投稿に最も適したプラットフォーム ・美容室と相性がよい | |
TikTok | ・フォロワーが少なくてもバズりやすい ・潜在層にもリーチできる |
X(旧Twitter) | ・速報性と拡散性に優れている ・最新情報やキャンペーン情報の発信に最適 |
YouTube | ・顧客のファン化を促進できる ・公式サイトのSEO対策と好相性 |
ただし「今すぐ客」は、検索エンジンやポータルサイト経由で美容室を探します。あくまでSEO対策を優先しつつ、リソースを確保できる場合はSNS運用を並行するのがよいでしょう。
美容室のSEO対策は地域性とコンテンツの品質を重視しよう
美容室数が増加している中、自店舗の存在感を高めるためにはSEO対策が欠かせません。ぜひ本記事で紹介した施策を参考に、着手を検討してみてください。
美容室のSEO対策は、地域への密着度とコンテンツの品質を重視することが大切です。ユーザーにとって有益な情報を提供し、事業の成長につなげましょう。