個人によるインターネット利用率は、2022年に84.9%を突破しました。現代のビジネス環境で行政書士事務所の集客力を高めるためには、Web施策が必要不可欠になっています。
なかでも「SEO対策」は、Web集客に成功している大多数の行政書士が取り組んでいる施策です。
本記事では、行政書士におすすめのSEO対策やホームページに掲載すべき内容、成功事例などを紹介します。新規顧客獲得を目指す行政書士の方は、ぜひ参考にしてください。
行政書士に必須のSEO対策7選

SEOを強化する施策にはさまざまなものがありますが、なかでも行政書士におすすめの対策は以下の7つです。
- 「行政書士+地名」のキーワードを対策する
- 複数の対策キーワードを組み合わせる
- 見込み客が知りたがっている情報を提供する
- 被リンクを獲得してサイトの信頼性を高める
- サイトの使い勝手を良くする
- 関連するページを内部リンクでつなぐ
- E-E-A-Tを意識する
具体例とともに詳細を解説します。
1. 「行政書士+地名」のキーワードを対策する
最優先で対策すべきキーワードは、以下のような「行政書士+地名」のキーワードです。
- 行政書士 五反田
- 行政書士 仙台市
- 行政書士 名古屋
見込み客が行政書士を探す際は、まず自宅や事業所の近隣で事務所を検索するためです。
地名を含めたキーワードを対策することで、サービス提供地域における知名度を高めることができます。実際、「行政書士+地名」のキーワードで検索結果の上位を獲得している行政書士は、例外なくWeb集客に成功している印象です。
2. 複数の対策キーワードを組み合わせる
対策キーワードは、「行政書士」と一緒に検索されている語句を組み合わせて選定しましょう。「行政書士」単独では月間検索数が多く、上位表示が困難になるためです。
「行政書士+○○」とキーワードを組み合わせることで競合の数が少なくなり、立ち上げたばかりのサイトでも上位表示を狙いやすくなります。おすすめは以下のような、地域や業務内容に関するキーワードとの組み合わせです。
- 行政書士 長岡市 相続
- 行政書士 横浜 遺言書作成
- 行政書士 盛岡 建設業許可申請
自身の強みとなる業務に関連したキーワードを対策することは、上位表示はもちろん、事務所の専門性アピールにもつながります。
「どのようなキーワードを狙うべきか分からない」といった場合は、以下のキーワード選定ツールを活用するのがおすすめです。競合が少ないキーワードや、狙い目のキーワードを見つける際に役立ちます。
- ラッコキーワード(無料)
- キーワード プランナー(無料)
- Ahrefs(有料)
3. 見込み客が知りたがっている情報を提供する
SEO対策の要は、ユーザーにとって価値ある情報を提供することです。検索上位を獲得するためには、事業者側が発信したい情報ではなく、ユーザーが求めている情報を提供することを心がけましょう。
制作すべきコンテンツの内容は「どのような見込み客を集めたいのか」から逆算して検討します。
- 「相続関連の悩みを抱えている人」に「相続財産の調査方法を解説するコラム」を提供
- 「建設業を開業したい人」に「建設業許可の取得手続きに関するFAQ」を提供
- 「農地を売りたい人」に「土地関連の申請手続きについてまとめた記事」を提供
事務所の方針や得意業務と、見込み客が知りたがっていることを照らし合わせながらコンテンツの内容を決めましょう。ユーザーが求めている情報を網羅的に提供することが、結果としてGoogleからの評価獲得につながります。
4. 被リンクを獲得してサイトの信頼性を高める
被リンクとは、他サイトから自社サイトへ貼られているリンクのことです。
信頼性の高いサイトから被リンクが得られると、Googleから「このサイトは権威のあるホームページからお墨付きをもらっている。信頼できそうだ」と解釈されます。結果としてSEO評価が向上し、検索順位アップの一助になるのです。
行政書士事務所が獲得しやすいリンクの具体例は以下のとおりです。
- 所属する団体・協会のホームページに掲載してもらう
- 取引先や提携している事務所のホームページに掲載してもらう
- 他社メディアの記事を監修し、監修者として紹介してもらう
- 比較サイト・ポータルサイトに掲載する
ただし、行政書士と関連性の低いサイトや、低品質なサイトからの被リンクは逆効果になるため注意が必要です。「関連性が高く」「権威のある」サイトからの被リンク数を増やすことに注力しましょう。
5. サイトの使い勝手を良くする
Webサイトに訪問したユーザーが目的の情報をストレスなく探し出せるよう、サイト全体の利便性を向上させましょう。これにより、Googleがサイトを評価しやすくなる効果も得られます。
サイトの使い勝手を改善するうえで、優先的に見直したいポイントは以下のとおりです。
- モバイル端末からアクセスしたユーザーの利便性を損ねていないか
- ページの読み込みに時間がかかっていないか
- 同じようなコンテンツ(重複コンテンツ)が掲載されていないか
サイトの利便性向上は見込み客の離脱を抑制するため、結果として効率的な新規顧客獲得にもつながります。以下のツールを活用して改善を図りましょう。
- 検索結果の測定・管理・改善:Google Search Console
- ページの読み込み速度改善:PageSpeed Insights
6. 関連するページを内部リンクでつなぐ
内部リンクとは、自身のホームページ内のページ同士をつなぐリンクのことです。
内部リンクを適切に設置すると、サイト内の情報を見つけやすくなり、ユーザーの利便性が向上します。さらに、リンク元とリンク先の関連性を考慮してリンクすると、双方のページの品質が高まりSEO評価の向上につながります。
内部リンクを最適化するポイントは以下のとおりです。
- 関連する高品質なページへのリンクを貼る
- リンク先のタイトルとアンカーテキスト(リンク内容を表すテキスト)を一致させる
- パンくずリストやサイトマップを活用する

ユーザーにとっての使いやすさを重視して、内部リンクを最適化しましょう。
7. E-E-A-Tを意識する
E-E-A-Tとは、Googleの検索品質評価ガイドラインで定められているWebサイトの評価基準のことです。
Experience(経験) | コンテンツには作成者の実際の経験が盛り込まれているか |
---|---|
Expertise(専門性) | 業界の専門的な知識やスキルが示されているか |
Authoritativeness(権威性) | コンテンツが業界内でどの程度認められているか |
Trust(信頼) | サイトやコンテンツは信頼できるか |
行政書士のような専門性の高いジャンルにおいてはとくに重視される指標のため、コンテンツの制作時は必ず考慮しましょう。
行政書士事務所に有効なE-E-A-T対策の具体例は以下のとおりです。
- E(経験): 独自の調査結果や実務で得られた一次情報を活用する
- E(専門性): 専門分野に特化した記事を充実させる
- A(権威性): 他サイトから引用・リンクされる機会を増やす
- T(信頼):情報の鮮度や正確性にこだわる、発信者の情報を明示する
E-E-A-T対策は、SEO的な観点からはもちろん、自社の信頼性を確立するうえでも重要です。
行政書士事務所のSEO対策でホームページに掲載すべき内容

行政書士のSEO対策において、土台となるホームページの中身を充実させることも忘れてはいけません。ホームページには必ず、下記のコンテンツを設置しましょう。
- 業務内容・料金
- お客様の声
- 代表からのメッセージ
- 問い合わせフォーム
- FAQ
それぞれの内容を具体例とあわせて紹介します
「業務内容・料金」は分かりやすさを重視
業務内容・料金(報酬額)を明示したページは、最優先で作成すべきコンテンツです。ユーザーが知りたい情報を掲載することで、検索エンジンからの評価も高まります。
業務内容・料金ページを作成する際の注力ポイントは以下のとおりです。
- 「1業務・1ページ」で作成する
- ページごとに対策キーワードを設定する
- 業務内容ごとに料金を明示する
- 図や表を用いて視認性を高める
業務内容ページにはタイトルタグや見出しタグを設定し、対策キーワードを盛り込みます。さらに、関連性の高いページ同士をリンクさせ、ユーザーの利便性向上を図りましょう。
「お客様の声」で実績をアピール
顧客の口コミは、ユーザーが最も注視するコンテンツの1つです。インターネットやSNSが普及している現代では、事業者側の一方的な発信よりも、利用者の「生の声」が情報源として信頼されます。
訪問者のニーズが高い情報を掲載することは、サイトへの滞在時間増加に寄与します。実際、SEO対策に成功している行政書士のホームページは例外なく「お客様の声」が充実しています。
見込み客のアクションを促すためにも、戦略的に口コミページを作成しましょう。
「代表からのメッセージ」で信頼感を醸成
代表のプロフィールやメッセージを伝えるページは「E-E-A-T」の観点からも非常に重要です。以下のような項目を含めて作成しましょう。
- 経歴
- 事務所の理念やビジョン
- 自身の得意分野
- 顔写真
- 見込み客へのメッセージ
法律にかかわる分野では、サイトの信頼性や権威性がとくに重要視されます。運営元の情報はできる限り詳細に記載しましょう。
「問い合わせフォーム」で機会損失を防止
ユーザーの利便性を高めるうえで、問い合わせフォームの設置は必須事項です。電話よりもハードルの低い問い合わせ手段を用意することで、見込み客の取りこぼしを最小限に抑制できます。
問い合わせフォームを設置する際は、以下のポイントをおさえましょう。
- 問い合わせフォームへのリンクを分かりやすい位置に設置する
- フォームの入力項目をできる限り減らす
- フォームの自由記述欄を減らし、選択式の回答を増やす
問い合わせフォームにたどり着くユーザーは、成約確度の高い見込み客です。フォームの使い勝手にストレスを感じさせることのないよう、利便性にこだわって作成すべきページだといえます。
「FAQ」で見込み客の不安を解消
FAQ(よくある質問)をまとめておくことで、ユーザーの疑問・不安を先回りして解消できます。顧客から日ごろ多く寄せられる質問を参考に、掲載する内容を検討しましょう。
- 相談できる依頼内容にはどのようなものがありますか?
- 夜間や土日の相談、オンライン上で相談は可能ですか?
- 作成した書類の確認のみ依頼することはできますか?
- 他の専門家が必要な場合は紹介を依頼できますか?
FAQはユーザーの検索ニーズを満たしやすいコンテンツなので、SEOの観点からも有利です。選定した対策キーワードにもとづいて内容を調整するのもよいでしょう。
行政書士がSEO対策に取り組むメリット
SEO対策には時間と労力が必要になるため、行政書士の本業と両立するのが難しい場合もあるでしょう。
しかし、SEO対策では費やしたリソースに見合う、以下のようなメリットが得られます。
- 成約確度の高い見込み客を獲得しやすい
- ブランディングにつながる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
成約確度の高い見込み客を獲得しやすい
不特定多数に発信する広告と異なり、SEOでは「能動的に」情報を収集しているユーザーを自身のサイトへ集客できます。行政書士の業務に関連する悩みを持つ人が多いため、結果として成約につながりやすいことが特徴です。
狙うキーワードによって、集客するターゲット層をコントロールできることもメリットです。得意な業務に関するキーワードや、地域に関するキーワードなどを手厚く対策することで、さらに良質な見込み客を集めやすくなります。
ブランディングにつながる
SEO対策によって検索順位が向上することで、以下のようなブランディング効果が得られます。
- 認知度が高まり「○○といえばあの事務所」といった指名検索につながる
- 良質なコンテンツによって信頼性が確立され、他社との差別化につながる
Web広告では実現困難な、信頼性や権威性の確立につながることがSEOならではのメリットです。見込み客へ「どのようなイメージを与えたいのか」を明確にしたうえで、狙うキーワードを戦略的に選定しましょう。
行政書士事務所のSEO対策における3つの注意点
行政書士のSEO対策を成功に導くためには、以下の注意点を押さえておく必要があります。
- 中長期的な視点で取り組む
- MEOを同時進行する
- 定期的に効果測定を行う
それぞれ詳細を解説します。
中長期的な視点で取り組む
SEO対策に即効性はありません。効果を実感できるようになるまで、数ヶ月~1年程度の期間が必要になることを見越しておきましょう。
Googleは、SEOの成果を得られるまでの期間について以下のように明言しています。
成果が出るまで時間がかかることを忘れないでください。変更に着手してからメリットが得られるようになるまで、通常は 4 か月から 1 年かかります。
適切なSEO対策は、継続的に安定した集客効果をもたらします。しかし、多忙な行政書士の方は「できる限り効果を早く実感したい」と感じるでしょう。
そこで役立つのが「MEO対策」です。SEOとMEOを両立することで、集客効果を得るまでの時間を短縮できる可能性があります。
MEO(ローカルSEO)を同時進行する
MEO(ローカルSEO)とは、特定の地域における検索結果(マップ検索や地域検索など)で上位表示を目指す取り組みを指します。行政書士のような地域密着ビジネスでは、MEOは欠かせない施策です。

MEOに取り組む際は、以下の流れでGoogleビジネスプロフィールの登録・運用をする必要があります。
- Googleビジネスプロフィールの登録・オーナー認証を行う
- 事務所の基本情報(事務所名・住所・電話番号)を公式サイトの表記と統一させる
- 写真や動画を投稿する
- 良質な口コミを収集し、可能な限り返信する
Google評価の高さや口コミ数は、見込み客の意思決定に多大な影響を与えます。利用者への口コミ依頼を地道に継続することも、重要なMEOの一環です。
定期的に効果測定を行う
SEOで成果を得るためには、施策の良し悪しを判断する「効果測定」が欠かせません。効果測定が十分でない場合、改善ポイントが明確にならず、継続的に成果を出すことが難しくなります。
SEOの効果測定において、最優先で見るべき指標には以下のようなものがあります。
- 検索エンジン(自然検索)からの流入数
- キーワードごとの検索順位
- 被リンク数
上記の数値を定期的に確認するために、以下のツールを活用しましょう。とくにGoogleのツールはSEO対策を行ううえで欠かせないため、ぜひ利用を検討してみてください。
- Google Analytics(無料)
- Google Search Console(無料)
- 検索順位チェックツールGRC(一部有料)
行政書士のSEO対策の成功事例
実際にSEO対策に成功している行政書士は、どのようなホームページ運営を行っているのでしょうか。
以下では、専門性の高さが際立つ2つの事務所の事例を紹介します。自身のサイトの集客力を高めるうえで、ぜひ参考にしてください。
地域密着型集客のお手本|多角的なコンテンツ戦略でサイトを強化

引用元:長岡行政書士事務所
相続手続、遺言書作成を専門としている横浜市の行政書士事務所です。「相続手続」「遺言書作成」とサービス別にサイトを2つ設け、それぞれで専門知識を提供しています。
「藤沢市 名寄帳」「横須賀市役所 相続相談」など、見込み客が検索しそうなキーワードを狙ってコラムを作成している点が参考になるでしょう。
YouTubeや他メディアの記事監修など、多角的にサイト強化を図ることで上位表示を実現している事例です。
SEOとMEOの相乗効果|専門分野に特化したコラムが特徴

引用元:行政書士法人 第一綜合事務所
国際業務に専門特化した行政書士法人のホームページです。
「就労ビザ」「永住ビザ」「帰化申請」など、カテゴリ別に多くのコラムを掲載し、専門性の高さをアピール。Google評価は「4.9/594件」と高評価で、MEOにも注力していることが特徴です。
大手の事務所だからこそ、ホームページ運営にリソースを費やせている側面はあるでしょう。しかし、コラムの作り方やキーワード選定の仕方など、小規模事務所も参考にできるポイントは多くあります。
まとめ:行政書士のSEO対策はユーザー目線を重視しよう
SEO対策において最も注力すべきポイントは、ユーザーに価値ある情報を提供することです。「目の前にいる顧客の悩みを解決する」という姿勢でコンテンツを制作することが、結果としてGoogleからの評価獲得にもつながります。
まずは本記事で紹介した施策を参考にしつつ、自社サイトの改善点を探ってみてはいかがでしょうか。