介護施設のSEO対策とは？老人ホームの集客を成功させるコツを解説

介護事業の市場規模は高齢化とともに拡大を続けており、2023年度には12兆4000億円と過去最多を記録しています。競合が増加する中で介護施設の経営を安定させるためには、集客効果の高いWeb施策が必要です。

とくにSEO対策は、自社のブランド価値を高め、他社との差別化を図る施策として有効です。ユーザーにとって有益な情報を提供することで、信頼感・安心感を醸成する効果もあります。

そこで本記事では、介護施設に欠かせないSEOの具体策を分かりやすくまとめました。公式サイトからの問い合わせ数を増やしたい事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

介護施設の集客においてSEO対策に取り組むべき3つの理由

従来の介護施設では、アナログ的な集客方法が用いられていました。しかしデジタル技術の発展に伴い、多くの企業（施設）がWebマーケティングに注力しています。そのひとつが「SEO対策」です。

介護施設の集客において、SEO対策に取り組むべき理由は3つあります。

それぞれ解説します。

検索で介護施設を探すユーザーもいる

顕在層が検索するキーワードの例	潜在層が検索するキーワードの例
・新潟市 老人ホーム ・長岡市 介護施設 送迎付き ・上越市 グループホーム	・親 介護 遠方 ・介護施設 選び方 ・介護施設見学

株式会社LIFULLが実施した調査によると、介護施設を探す際に頼りにされているのは「ケアマネジャー」とのこと。しかし、インターネットで調べたユーザーも約30%となっています。

ユーザーが抱えている悩みや現状によって、検索窓に打ち込むキーワードは異なります。その一例が上記のとおり。

上位表示に成功することでより多くのユーザーの目に留まり、自社の施設を選んでもらえる可能性も高くなるでしょう。

競合となる介護施設が増加している

内閣府のデータによると、日本の高齢化率は28.4%といわれています。約3人に1人が高齢者ということになりますね。

それに伴い介護施設も増加傾向にありますが、言い換えれば「競合も増えている」わけです。つまり、競合との差別化を図らなければ認知・集客にはつながりません。

SEO対策を実施し上位表示させることで、自社を知ってもらう機会が増えます。競合が多いとSEO対策も難しくなりますが、適切な施策を地道に継続していけば、おのずと成果につながるでしょう。

集めたい属性にアプローチできる

介護施設を調べているユーザーは「どこを選べばいいかわからない…」という、情報過多に陥っています。どの施設も特徴や魅力を丁寧に打ち出しているため、ユーザーからすればなおさら選ぶのは大変でしょう。

そこで大切なのが、集客したい属性を明確にすること。ターゲットへの理解度が高まると、狙うべきターゲットや打ち出す訴求も定まってきます。

介護施設のSEO対策における必須キーワード

介護施設のサイトを検索結果の上位に表示させるためには、適切なキーワードの選定が欠かせません。介護施設のSEO対策で狙うべきキーワードは以下のとおりです。

具体例とあわせて、それぞれの詳細を見ていきましょう。

地域名

大多数のユーザーが、自身または介護を必要としている家族の居住地周辺で施設を探します。そのため最優先で上位表示を狙いたいのは、地域名を盛り込んだキーワードです。

同じエリア内でも、検索されやすい地域の単位（都道府県・市区町村・駅名）は異なります。Googleキーワードプランナーをはじめとするツールを用いて、狙いたいキーワードの検索ボリュームを調査してみましょう。

立ち上げて間もないサイトの場合、まずは検索ボリュームが「100〜300」程度のキーワードから優先して対策することをおすすめします。

施設の条件面

介護施設を決める判断材料として、立地だけではなく施設の条件面も重要視されます。以下のように、地名と組み合わせてキーワードを選ぶことで、より顕在的なニーズを持つユーザーにアプローチできます。

このようなキーワードで上位表示できると、問い合わせ数の増加に直結します。自社の強みをアピールすることにもつながるため、積極的に対策しましょう。

ユーザーの悩み関連

介護に関連するユーザーの悩み・疑問を解決するコンテンツを作成することで、潜在層にもアプローチが可能です。

直接的な問い合わせにはつながりにくいキーワードですが、認知や信頼性の向上に大きく寄与します。将来的に自社を検討してくれるユーザーを増やしつつ、サイトのパワーを高めるために長期目線で対策したいキーワードです。

介護施設のSEOコンテンツ対策の重要ポイント6選

SEO対策の基本は「ユーザーが求めている情報を提供すること」です。

Googleはユーザーにとっての有益性を重視してサイトを評価するため、検索順位アップには公式サイトのコンテンツを充実させることが欠かせません。コンテンツ作成において重視すべきポイントは以下のとおりです。

それぞれ詳細を解説します。

写真を充実させる

公式サイト内の写真を充実させることで、検討ユーザーが施設のイメージを抱きやすくなります。ホームページ作成に使用できる画像素材ではなく、できる限り施設で撮影したリアルな写真を掲載しましょう。

写真によって視覚的な訴求力が高まることで、訪問者のサイト滞在時間が増加します。結果的にGoogleから「有益な情報を提供しているサイト」と解釈されやすくなり、SEO評価の向上が見込めるのです。

施設の日常を伝える

ユーザーに「毎日を心地よく過ごせる施設」であることをアピールするためには、日常の様子を積極的に紹介することが有効です。

とくに入居者の家族は、施設に対して「この施設に任せて大丈夫なのか」と不安や警戒心を抱きやすい傾向にあります。日常の雰囲気が分かることで安心感が生まれ、実際の施設見学につながりやすくなるでしょう。

料金・条件を明示する

料金や入居条件は、ユーザーが最も注視するコンテンツの1つです。必要な情報を分かりやすく掲載することで、ユーザーのサイト滞在時間が増加し、SEOに好影響を与えます。

以下のポイントをおさえ、誰にとっても分かりやすい記載を心がけましょう。

料金・条件を漏れなく記載することは、施設の透明性・信頼性向上の観点からも重要です。

「問い合わせ」「資料請求」への導線を整える

問い合わせや資料請求などのフォームは、分かりやすい位置に配置して機会損失を防ぐことが大切です。

過度なアピールは厳禁ですが、ユーザー目線で利便性を検証して導線を整えましょう。

ユーザーの役に立つブログ・コラムを作成する

ユーザーにお役立ち情報を提供する記事コンテンツを作成することで、多くのユーザーに自社の認知を拡大しましょう。

悩みを解決しようとGoogle検索したユーザーがブログ記事にたどり着けば、自社の介護施設の利用を検討してくれる可能性があります。

有益な情報が充実しているサイトは訪問ユーザーの回遊率が高まるため、SEO評価にいい影響を与えます。まずは、ロングテールキーワード（検索ボリュームが小さいキーワード）から取り組み、上位表示を目指しましょう。

E-E-A-Tを高める

E-E-A-Tとは、Googleの「検索品質評価ガイドライン」にて示されているコンテンツの品質評価基準のことです。

Experience（経験）	コンテンツのトピックに関して、作成者が実際の経験を持っているか
Expertise（専門性）	業界における専門的な知識やスキルが示されているか
Authoritativeness（権威性）	コンテンツが業界内でどの程度認められているか
Trust（信頼）	サイトやコンテンツは信頼に足るものか

E-E-A-Tを意識して作成した良質なコンテンツは、上位表示を獲得しやすくなります。介護施設では、以下のポイントをおさえてサイトのE-E-A-Tを高めましょう。

E-E-A-Tは明確な評価基準がないため、絶対的に効果のある施策を特定できるものではありません。ユーザーから信頼を得ることを重視し、丁寧に施策を実行していくことが大切です。

介護施設のSEO対策を成功させる4つのコツ

SEO対策の基本は、適切なキーワードを選定し、良質なコンテンツを充実させることです。そのうえで以下の施策を実行すると、SEOの効果はさらに高まります。

それぞれ詳細を見ていきましょう。

タイトルに対策キーワードを含める

SEO対策を成功させるうえで、タイトルに対策キーワードを含めることは必須事項です。

まずは、以下のポイントを参考に各ページのタイトル改善を図りましょう。

タイトルの最適化は即効性がある施策なので、最優先で着手することをおすすめします。

内部リンクを最適化する

内部リンクとは、自社サイトのページ同士をつなぐリンクのことです。内部リンク構造を整えることで、ユーザーは求めている情報を見つけやすくなり、積極的にサイト内を回遊するようになります。

内部リンク最適化のポイントは以下のとおりです。

内部リンクの最適化は、Googleのクローラー（Webページ収集プログラム）の巡回を促す効果もあります。結果としてSEO評価の向上につながるため、まずは関連ページ同士をつなぐことから着手してみましょう。

介護施設に関連した被リンクを獲得する

被リンク（外部のサイトから自社サイトへ貼られたリンク）を獲得するとサイトの信頼性が高まり、SEO評価の向上につながります。介護施設における良質な被リンクの例は以下のとおりです。

ただし以下のような被リンクは、SEOに悪影響を与える可能性があるため要注意です。

被リンクは「品質」を重視し、獲得先・獲得方法にこだわりましょう。

MEO対策を同時進行する

MEOは、Googleマップや特定の地域における検索結果で上位表示を目指す施策です。介護施設のような地域密着型ビジネスでは、MEOの取り組みが問い合わせの増加に直結します。

マップ検索やローカル検索で自社情報を表示させるためには、Googleビジネスプロフィールを運用する必要があります。

MEOに注力している介護施設はあまり多くないため、競合との差別化を図るうえで非常に有効です。SEOとの相乗効果も期待できるので、同時進行で対策しましょう。

介護施設の集客に役立つSEO対策以外のWeb施策

SEO対策以外にも、介護施設の集客を効率化させるWeb施策があります。

いずれもSEO対策との併用が有効な施策です。詳細を見ていきましょう。

リスティング広告

リスティング広告は、検索キーワードに連動して表示されるテキスト形式の広告です。

能動的に情報収集しているユーザーに広告を表示できるため、問い合わせに直結しやすい見込み客を集められます。SEOと並行されることの多い施策ですが、両者には以下のような違いがあります。

リスティング広告とSEOは、互いにデメリットを補い合う関係性にあります。事前に費用対効果を検証し、採算が合う場合は利用を検討してみましょう。

ポータルサイト

介護に関連する多くのキーワードで上位表示を獲得しているのが、大手ポータルサイトです。自社情報をポータルサイトに掲載することで、即効性の高い集客効果が見込めます。

掲載先は「狙いたい地名＋老人ホーム」で検索した際に、自社より上位表示されるポータルサイトを選びましょう。

ただし、ポータルサイト内の競争も激化しており、効果を得るためには一定の費用を投じる必要があります。活用する場合はSEO対策を並行し、外部の手段に依存しすぎない体制を構築することが大切です。

介護施設のSEO対策の成功事例

自社のホームページを改善するうえでは、実際にSEO対策で成功を収めている企業をお手本にすることが有効です。以下では、参考になる介護施設の事例を2社分紹介します。

イチロウ｜ユーザーに寄り添った情報提供のお手本

引用元｜イチロウ

イチロウは、オーダーメイドの24時間訪問介護・看護を提供している企業です。大手企業やポータルサイトに負けず、多数のキーワードで上位表示を獲得しています。

当社のホームページからは、施設の利用イメージが湧きやすい情報の伝え方を学べます。ユーザーの離脱を抑制し、問い合わせにつながりやすいサイトを目指したい方は参考にしてみてください。

アクタガワ｜訪問者のニーズを満たす独自性の高いコンテンツが特徴

引用元｜アクタガワ

アクタガワは、静岡の地域密着型介護施設です。複数のスモールキーワードで上位表示を実現し、地方の企業ながらも存在感を放っています。

多くの記事コンテンツが検索上位を獲得しているのは、介護の現場で得られた一次情報をふんだんに盛り込んでいるからだと推察できます。

「自社にしか発信できない情報」を提供する姿勢を、ぜひ参考にしてみてください。

介護施設のSEO対策は有益なコンテンツの提供が重要

介護施設のSEO対策は、ユーザーにとっての有益性を第一に考えて実行することが大切です。ユーザーに役立つ情報を提供し、自社の信頼感を高めることが、問い合わせの増加につながります。

まずは、適切なキーワードを選定し、公式サイトのコンテンツを充実させることから始めましょう。地道な取り組みではあるものの、継続することで大きな成果が見込めます。自社の目的達成に向けて、本記事の内容を参考にしていただけますと幸いです。