動物病院のホームページを、大きな集客経路として機能させる手段が「SEO」です。適切なSEO施策は、広告に依存せずとも公式サイトのアクセス数を継続的にアップさせます。
本記事では、動物病院向けにSEOの具体的な施策をまとめました。ホームページ経由の問い合わせ数が伸びずにお悩みの病院関係者の方は、ぜひ参考にしてください。
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動物病院の集客にSEO対策が不可欠な理由
インターネット上での情報収集が主流になっている現代において、動物病院の集患を安定化させるにはWeb施策が欠かせません。
以下では、Web施策の中でもとくにSEO対策が重視される理由について、動物病院が置かれている状況をふまえて解説します。
患者の奪い合いが起きているため
政府の発表データによると、直近5年間における犬の登録頭数は減少が続いている一方、飼育動物診療施設は増加しています。動物病院の競争が激化しているのです。

出典:農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)」厚生労働省「都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等」
経済産業省も、ペットブームは「頭打ちあるいはピークアウト」状態との見解を示しており、患者の奪い合いは今後さらに熾烈になっていくことが予想されます。
このような情勢の中、多くの方に選ばれる病院を目指すうえでは他院との差別化が欠かせません。SEO対策は、患者に有益なコンテンツを提供し、自院の信頼性を確立することに貢献します。
潜在層へのアプローチが必要なため
前述したとおり、近年は動物病院同士の競争が激化しています。「動物病院を今まさに求めている」顕在層へのアプローチのみでは、新規集患が鈍化していくのは目に見えています。
そこで重要になるのが、動物病院が必要なときに思い出してもらえる存在を目指すことです。「今すぐではないけれど、今後ペットを飼うことも検討している」といった潜在層にアプローチすることで、集患の幅を広げることができます。
SEO対策でユーザーの悩みを解決する情報を発信すれば、潜在ニーズを持つユーザーとの信頼関係構築に役立ちます。
- 犬のしつけ方法を解説
- 賃貸物件で猫を飼うポイントを紹介
- 初心者でも飼いやすい動物○選
上記のようなトピックでブログ記事を作成し、ユーザーのニーズを満たすことで自院の「ファン」を生み出せるのです。
SEOコンテンツとSNSを紐づけて運用すれば、認知拡大や信頼性確立の効果がさらに高まるでしょう。
動物病院のSEO対策におけるキーワード戦略
SEO対策の成功率は、選定するキーワードに左右されるといっても過言ではありません。動物病院のキーワード戦略では、おもに以下の3点が重要です。
- 見込み客が検索しやすいキーワードを把握する
- 競合をリサーチする
- ロングテールキーワードから取り組む
具体例とともに、それぞれの詳細を解説します。
見込み客が検索しやすいキーワードを把握する
SEO対策のキーワード戦略では、まず「見込み客がどのようなキーワードで検索するのか」を把握することが大切です。動物病院を利用しうるユーザーが検索しやすいキーワードには、大きく以下の5種類があります。
キーワードのカテゴリ | 具体例 |
---|---|
地域名 | 動物病院 町田 ペット 病院 柏 川崎 ペットクリニック |
動物の種類 | ハムスター 病院 横浜市 病院 爬虫類 足立区 鳥 病院 所沢 |
緊急性 | 動物病院 浜松 夜間 名古屋 動物病院 日曜 動物病院 千葉 24時間 |
診療内容 | 猫 去勢手術 代々木上原 フィラリア検査 練馬 犬 歯石取り 大宮 |
ユーザーの悩み・疑問 | 老犬 介護 疲れた 子犬 しつけ 甘噛み 猫 トイレ以外で尿 突然 |
とくに「地域+動物病院」は問い合わせにつながりやすいキーワードなので、重点的に取り組みましょう。まずは「市区町村」「駅名」など、規模の小さいキーワードから対策するのがおすすめです。
競合をリサーチする
SEO対策のキーワード選定では、競合の状況をリサーチすることも欠かせません。ライバル病院や、大手ポータルサイトが上位表示しているキーワードを調査しましょう。
たとえば、「動物病院 大和市」で競合が1位、自院が圏外だった場合は、まったく同じキーワードで上位表示を狙うことは困難です。
そこで、ライバルが対策していないキーワード(例:動物病院 猫 中央林間)を狙えば、SEOに強い競合と全面対決することなく上位表示を実現できる可能性があります。
競合分析やキーワード分析に役立つ製品の中でも、Ubersuggestはコスパに優れたツールの1つです。競合の上位表示キーワードを一覧で確認できるため、自院が強化すべきポイントを見極められます。
ロングテールキーワードから取り組む
SEO対策を成功させるためには、複数語句を組み合わせた「ロングテールキーワード」から対策を始めることが重要です。競合が少ないため、立ち上げて間もないサイトでも上位表示を狙いやすくなります。
- 犬 逆くしゃみ 止まらない
- 猫 ワクチン 副作用 いつまで
- 犬 涙やけ 取り方
ロングテールキーワードを探す際は、Googleキーワードプランナーやラッコキーワードなどのツールを活用するのがおすすめです。
いくつかキーワードの候補を抽出できたら、競合の状況や自院との相性をふまえ、対策の優先順位を決めましょう。
【重要】動物病院のSEOコンテンツ対策

動物病院がSEOを成功させるには、高品質なコンテンツの作成が求められます。コンテンツ対策において、とくに重視すべきポイントは以下のとおりです。
- ユーザーの役に立つブログ記事を作成する
- 公式サイトに必須のコンテンツを網羅する
- ファーストビューに重要な情報を掲載する
- E-E-A-Tを高める
コンテンツSEOは、医院の認知度向上と反響アップに欠かせません。それぞれ詳細を見ていきましょう。
ユーザーの役に立つブログ記事を作成する
ユーザーの悩みや疑問を解決するブログ記事は、ホームページへの流入経路として機能します。記事コンテンツが上位表示を獲得すれば、ペットを飼育している多くのユーザーに自院の認知を拡大できるのです。
- 犬の認知症に関する知識や対処法
- 肉球の役割やケガの原因
- 換毛期におけるブラッシングやシャンプーの方法
誰でも書けるような一般論では、なかなかSEO評価は高まりません。以下のような、独自性の高い情報を提供することが重要です。
- 医院を運営する中で得られた一次情報・経験談
- 獣医師独自の見解
- 自身の研究で得られたデータ
自院の信頼感を醸成する効果もあるため、リソースを確保できない場合は記事作成の外注を検討してもいいでしょう。
公式サイトに必須のコンテンツを網羅する
動物病院のホームページに掲載すべきコンテンツは以下のとおりです。
診療内容・サービス内容 | 診療内容を科目別・症状別などに分けて掲載する |
---|---|
料金・支払い方法 | 料金一覧とともに、決済方法や各種保険適用の可否を明示する |
症例集 | ペットの症例を、症状発生の経緯や写真とともに紹介する |
院長プロフィール | 院長の経歴・所属学会・想いなどを写真付きで掲載する |
スタッフ紹介 | 看護師やスタッフのプロフィールを紹介し、信頼感を高める |
アクセス情報 | マップとともに、交通アクセスや駐車場の有無を掲載する |
問い合わせフォーム | 電話以外の問い合わせ手段を用意する |
テキスト情報だけではなく、写真や画像を積極的に活用してコンテンツを作成しましょう。視覚的訴求力を高めることで、ユーザーのサイト滞在時間が増加し、SEO評価にいい影響を与えます。
ファーストビューに重要な情報を掲載する
サイトを訪れたユーザーが最初に目にする領域「ファーストビュー」には、とくに重要な情報を掲載しましょう。
- 電話番号・所在地
- 診療時間
- 自院の特長(飼い主やペットにとってのベネフィット)
ファーストビューでサイトを離脱するユーザーの割合は40%~60%といわれています。問い合わせの増加を図るうえでは、ユーザーが求めている情報を端的に掲載することが大切です。
E-E-A-Tを高める

E-E-A-Tとは、Googleが「検索品質評価ガイドライン」にて示しているコンテンツの品質評価基準のことです。
Experience(経験) | コンテンツのトピックに関して、作成者が実際の経験を持っているか |
---|---|
Expertise(専門性) | 業界における専門的な知識やスキルが示されているか |
Authoritativeness(権威性) | コンテンツが業界内でどの程度認められているか |
Trust(信頼) | サイトやコンテンツは信頼に足るものか |
動物病院はYMYLジャンル(人生に大きく影響を与えるジャンル)に該当するため、情報の信憑性がとくに厳しく問われます。E-E-A-Tを重視してサイトの信頼性を確保しなければ、上位表示を狙うことは困難です。
- 医院の基本情報や理念を伝える専用ページを設ける
- 獣医のプロフィールを詳しく掲載する
- いい評判を獲得する(例:被リンクやサイテーションの獲得)
E-E-A-Tは明確な評価基準がなく、対策の絶対的な正解はありません。「ユーザーから信頼を得られるコンテンツ作り」を重視し、丁寧に施策を実行していくことが大切です。
記事コンテンツや医院紹介ページは、信頼性を高める上でもSEO上でも非常に重要です。とはいえ、どこから手をつければいいか分からない方は、専門家に相談してみるのもおすすめです。
動物病院が最低限取り組むべきSEO内部対策・外部対策

SEO対策では、Googleから適切な評価を得られるよう、サイトの構造・内容を整備することが大切です。動物病院で最低限取り組んでおきたいSEO内部対策・外部対策には、以下のようなものがあります。
- タイトルに対策キーワードを含める
- 関連ページ同士を内部リンクでつなぐ
- ホームページをスマホに最適化する
- 高品質な被リンクを獲得する
それぞれの具体策を確認していきましょう。
タイトルに対策キーワードを含める
各ページのタイトルは、コンテンツの内容をユーザーやGoogleに伝える役割を担います。対策キーワードをページごとに設定し、タイトルの前半に含めましょう。
加えて、SEO評価を高めるためには以下の項目を満たしていることも重要です。
- 30文字前後で設定している
- 不要な情報が含まれていない
- コンテンツの内容が一目で伝わる文章になっている
- 自院サイトの他ページや、競合のページと被らないよう設定する
また、トップページのタイトルに「最も狙いたい地名+動物病院」が含まれているかどうかも必ずチェックしましょう。
関連ページ同士を内部リンクでつなぐ
内部リンクとは、自院のサイト内の関連ページ同士をつなぐリンクのことです。内部リンクはユーザーのサイト内回遊を促すだけではなく、Googleにサイト構造を適切に伝える役割も担います。
内部リンクの最適化には、以下のような施策が効果的です。
- 関連性の高いページをつなぐ(例:予防接種の料金詳細はこちら)
- パンくずリストを設置する(例:トップページ>診療内容>内科>皮膚のお悩み)
- サイトマップ(サイトの構造やページを一覧表示するファイル)を活用する

動物病院のホームページでは、トップページから各コンテンツへの遷移のしやすさをとくに重視しましょう。
ホームページをスマホに最適化する
サイトのモバイル最適化(モバイルフレンドリー)は、検索順位の向上を目指すうえでの必須事項です。
総務省の調査によると、現代のインターネット利用率は「スマホ(72.9%)」が「パソコン(47.4%)」を大きく上回っています。勤務時間中のインターネット利用はパソコンが中心であることを考慮すると、プライベートにおける検索行動の大部分はスマホで行われていると判断できるでしょう。
まずは、自院のホームページが以下の要件を満たしているかをチェックしてみてください。
- レスポンシブデザイン(閲覧デバイスに表示が最適化されるデザイン)を採用しているか
- ページの読み込み速度は適切か(推奨2.5秒以内)
- ボタンやフォントのサイズ、行間は適切か
モバイル最適化は、SEO評価の面ではもちろん、ユーザーの離脱を防ぐうえでも極めて重要です。とくにページの読み込み速度が肝心なので、Googleの無料ツール「PageSpeed Insights」を利用して改善を図ることをおすすめします。
高品質な被リンクを獲得する
被リンクとは、外部のサイトから自院のサイトへリンクが貼られた状態を指します。被リンクの量・質は、サイトの権威性や信頼性を示す証としてSEO評価に大きな影響を与えます。
動物病院に適した被リンクの獲得先・獲得方法は以下のとおりです。
- 所属している獣医師会や団体に、会員として情報を掲載する
- 専門家として、関連メディアへ記事を寄稿する
- 取引先や提携業者に相互リンクを提案する
- 高品質な記事コンテンツを作成し、専門メディアからの引用を狙う
ただし、以下のような被リンクは、SEO評価に悪影響を与えるおそれがあるため避けましょう。
- 金銭的な取引によって獲得した被リンク
- 動物病院と関連性の低いサイトからのリンク
- 低品質なサイト(スパムサイトなど)からのリンク
- 過度な相互リンク
高品質な被リンクを獲得するには、継続した取り組みが欠かせません。まずは、動物病院と関連性の高いページからの被リンク獲得に努めましょう。
SEOに取り組む中で、『この施策、本当に効果があるのか?』と不安になることもあるはずです。自院サイトの状態に応じたアドバイスがほしい方は、ぜひご相談ください。
動物病院の集客力を高めるSEO対策以外のWeb施策
動物病院の集客力を高めるWeb施策として、代表的なものは以下の2種類です。
- MEO(ローカルSEO)
- SNS運用
どちらもSEOにいい影響を与える施策です。詳細を見ていきましょう。
MEO(ローカルSEO)
MEO(ローカルSEO)は、マップ検索や地域検索における検索順位の向上を目指す取り組みを指します。地域での存在感を高めるうえで、動物病院には必要不可欠な施策です。
MEOに取り組む際は、Googleビジネスプロフィールを運用する必要があります。
- Googleビジネスプロフィールの登録・オーナー認証を行う
- 医院の基本情報(病院名・住所・電話番号)を公式サイトの表記と統一させる
- 写真や動画を投稿する
- 良質な口コミを収集し、返信によってユーザーとコミュニケーションを図る
口コミ数や評価の高さは、検索順位にはもちろん、ユーザーの意思決定にも大きな影響を与えます。ポジティブなレビューを増やすために、飼い主への口コミ依頼を地道に継続することが大切です。
SNS運用
昨今では、SNSを用いて情報を発信する動物病院が多数存在します。よく利用されているのは、視覚的な訴求力に優れた「Instagram」や「YouTube」などのプラットフォームです。
動物病院がSNS運用に取り組むメリットには、以下のようなものがあります。
- 拡散力が高く、潜在層にも効率的に認知を拡大できる
- 画像・動画コンテンツは、テキスト情報よりも気軽に閲覧してもらえる
- 双方向のコミュニケーションによって「ファン化」を促進しやすい
- サイテーション(Web上で言及されること)獲得により、自院の信頼性が高まる
SNS運用における注意点は、農林水産省によって定められている「獣医療広告ガイドライン」を遵守することです。動物病院におけるSNS運用は「広告」に該当するため、投稿する内容や表現には注意を払う必要があります。
SNS運用に取り組む際は、2024年4月1日付けの改定とあわせて資料に目を通しておきましょう。
動物病院のSEO対策の成功事例
SEO対策に成功している動物病院の事例を参考に、自院のホームページを改善してみましょう。以下では、お手本になるポイントが多数ある2つの医院のホームページを紹介します。
ESSE動物病院吹田|E-E-A-T向上のお手本

引用元|ESSE動物病院吹田
ESSE動物病院吹田は、大阪府吹田市に拠点を置くクリニックです。キーワード「吹田市 動物病院」で上位表示を実現しています。
- ペットの病気に関する知識を、症例や実際の写真などを用いて解説している
- 院長はもちろん、スタッフの紹介ページも充実しており信頼感を醸成できている
- Googleの口コミに対して一件一件丁寧に返信し、MEOにも注力している
コンテンツ全体を通じて独自性・権威性・専門性・信頼性を確保できている事例です。自院のホームページのE-E-A-Tを高めるうえで、ぜひ参考にしてみてください。
越谷どうぶつ病院|ユーザー目線で作成されたコンテンツが特徴

引用元|越谷どうぶつ病院
越谷どうぶつ病院は、埼玉県越谷市のクリニックです。キーワード「越谷 動物病院」で1位を獲得しています。
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動物病院のSEO対策は信頼性を重視しよう
動物病院のSEOを成功させるためには、ユーザーにとって有益なコンテンツを充実させ、信頼性を確立することが重要です。まずは、自院のホームページに足りない要素を洗い出すことから始めましょう。
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