介護事業の市場規模は高齢化とともに拡大を続けており、2023年度には12兆4000億円と過去最多を記録しています。競合が増加する中で介護施設の経営を安定させるためには、集客効果の高いWeb施策が必要です。
とくにSEO対策は、自社のブランド価値を高め、他社との差別化を図る施策として有効です。ユーザーにとって有益な情報を提供することで、信頼感・安心感を醸成する効果もあります。
そこで本記事では、介護施設に欠かせないSEOの具体策を分かりやすくまとめました。公式サイトからの問い合わせ数を増やしたい事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
介護施設のSEO対策における必須キーワード
介護施設のサイトを検索結果の上位に表示させるためには、適切なキーワードの選定が欠かせません。介護施設のSEO対策で狙うべきキーワードは以下のとおりです。
- 地域名
- 施設の条件面
- ユーザーの悩み関連
具体例とあわせて、それぞれの詳細を見ていきましょう。
地域名
最優先で上位表示を狙いたいのは、地域名を盛り込んだキーワードです。
- 平塚 特養
- 介護施設 高松市
- 綾瀬 デイサービス
同じエリア内でも、検索されやすい地域の単位（都道府県・市区町村・駅名）は異なります。Googleキーワードプランナーをはじめとするツールを用いて、狙いたいキーワードの検索ボリュームを調査してみましょう。
立ち上げて間もないサイトの場合、まずは検索ボリュームが「100〜300」程度のキーワードから優先して対策することをおすすめします。
施設の条件面
介護施設を決める判断材料として、立地だけではなく施設の条件面も重要視されます。
- 横浜市 老人ホーム 認知症
- 老人ホーム 三郷 介護付き
- 三鷹 デイサービス お泊り
ユーザーのニーズが明確なキーワードなので、問い合わせにつながりやすいことが特徴です。自社の強みをアピールすることにもつながるため、積極的に対策しましょう。
ユーザーの悩み関連
介護に関連するユーザーの悩み・疑問を解決するコンテンツを作成することで、潜在層にもアプローチが可能です。
- 高齢者向け住宅 とは
- 老人ホーム 種類 違い
- グループホーム 入居条件
直接的な問い合わせにはつながりにくいキーワードですが、認知や信頼性の向上に大きく寄与します。将来的に自社を検討してくれるユーザーを増やす目的で、長期目線で対策したいキーワードです。
介護施設のSEOコンテンツ対策の重要ポイント6選
介護施設のSEO対策では、公式サイトのコンテンツを充実させる必要があります。コンテンツ作成において重視すべきポイントは以下のとおりです。
- 写真を充実させる
- 施設の日常を伝える
- 料金・条件を明示する
- 「問い合わせ」「資料請求」への導線を整える
- ユーザーの役に立つブログ・コラムを作成する
- E-E-A-Tを高める
それぞれ詳細を解説します。
写真を充実させる
公式サイト内の写真を充実させることで、検討ユーザーが施設のイメージを抱きやすくなります。
- 時間帯・季節ごとの施設外観
- 各部屋や共有施設の内観
- 災害や感染症対策用の設備
写真によって視覚的な訴求力が高まることで、訪問者のサイト滞在時間が増加します。結果的にGoogleから「有益な情報を提供しているサイト」と解釈されやすくなり、SEO評価の向上が見込めるのです。
施設の日常を伝える
ユーザーに「毎日を心地よく過ごせる施設」であることをアピールするためには、日常の様子を積極的に紹介することが有効です。
- イベントの開催風景
- 食堂での食事の様子
- スタッフとの触れ合いの様子
とくに入居者の家族は、施設に対して不安や警戒心を抱きやすい傾向にあります。日常の雰囲気が分かることで「この施設に入居させても大丈夫だ」という安心感が生まれ、入居の意思決定をしやすくなるでしょう。
料金・条件を明示する
料金や入居条件は、入居の判断材料として欠かせません。以下のポイントをおさえ、誰にとっても分かりやすい記載を心がけましょう。
- 費用は「入居日までに発生」「月々発生」などカテゴリを分けて記載する
- 費用の使途や算定根拠をできる限り明確に示す
- 入居条件は箇条書きで端的に示す
- 問い合わせから入居までの流れを説明する
料金・条件を漏れなく記載することで、施設の透明性や信頼性が高まります。
「問い合わせ」「資料請求」への導線を整える
問い合わせや資料請求などのフォームは、分かりやすい位置に配置して機会損失を防ぐことが大切です。
- 自然に視認できる箇所を選ぶ
- 複数箇所（ヘッダーやコンテンツの途中など）に設置する
- スクロール追従型のボタンを採用する
過度なアピールは厳禁ですが、ユーザー目線で利便性を検証して導線を整えましょう。
ユーザーの役に立つブログ・コラムを作成する
ユーザーの悩みを解決する記事コンテンツを作成しましょう。有益な情報が充実しているサイトは、訪問ユーザーの回遊率が高まり、結果としてSEO評価によい影響を与えます。
- 要介護度の知識（例：要介護4とは？3や5との違い）
- 介護施設の費用（例：介護施設の種類別費用相場）
- 認知症ケアの方法（例：ユマニチュードとは？介護施設での取り組み内容）
まずは、ロングテールキーワード（検索ボリュームが小さいキーワード）から取り組み、上位表示を目指しましょう。
E-E-A-Tを高める
E-E-A-Tとは、Googleの「検索品質評価ガイドライン」にて示されているコンテンツの品質評価基準のことです。
| Experience（経験） | コンテンツのトピックに関して、作成者が実際の経験を持っているか |
| Expertise（専門性） | 業界における専門的な知識やスキルが示されているか |
| Authoritativeness（権威性） | コンテンツが業界内でどの程度認められているか |
| Trust（信頼） | サイトやコンテンツは信頼に足るものか |
E-E-A-Tを意識して作成した良質なコンテンツは、上位表示を獲得しやすくなります。介護施設では、以下のポイントをおさえてサイトのE-E-A-Tを高めましょう。
- 会社概要やビジョンを伝える専用ページを設ける
- 記事コンテンツには著者情報を明記する
- 外部からのよい評判を獲得する（例：SNS運用、レビューサイトの活用など）
E-E-A-Tは明確な評価基準がないため、絶対的に効果のある施策を特定できるものではありません。ユーザーから信頼を得ることを重視し、丁寧に施策を実行していくことが大切です。
介護施設のSEO対策を成功させる4つのコツ
SEO対策の基本は、適切なキーワードを選定し、良質なコンテンツを充実させることです。そのうえで以下の施策を実行すると、SEOの効果はさらに高まります。
- タイトルに対策キーワードを含める
- 内部リンクを最適化する
- 良質な被リンクを獲得する
- MEO対策を同時進行する
それぞれ詳細を見ていきましょう。
タイトルに対策キーワードを含める
SEO対策を成功させるうえで、タイトルに対策キーワードを含めることは必須事項です。
まずは、以下のポイントを参考に各ページのタイトル改善を図りましょう。
- 文章が途中で切れないよう、30文字程度で設定する
- 対策キーワードを可能な限り左詰めで配置する
- 競合のページと重複しないようにする
- 不要な情報を詰め込まない
タイトルの最適化は即効性がある施策なので、最優先で着手することをおすすめします。
内部リンクを最適化する
内部リンクとは、自社サイトのページ同士をつなぐリンクのことです。内部リンク構造を整えることで、ユーザーは求めている情報を見つけやすくなり、積極的にサイト内を回遊するようになります。
内部リンク最適化のポイントは以下のとおりです。
- 関連性の高いコンテンツ同士をリンクでつなぐ
- 重要なページにリンクを集める
- パンくずリストやサイトマップを活用する
内部リンクの最適化は、Googleのクローラー（Webページ収集プログラム）の巡回を促す効果もあります。結果としてSEO評価の向上につながるため、まずは関連ページ同士をつなぐことから着手してみましょう。
良質な被リンクを獲得する
被リンク（外部のサイトから自社サイトへ貼られたリンク）を獲得するとサイトの信頼性が高まり、SEO評価の向上につながります。介護施設における良質な被リンクの例は以下のとおりです。
- 取引先や提携先との相互リンク
- 介護関連メディアからの引用
- 地元メディアや地域新聞のウェブ版への情報掲載
ただし以下のような被リンクは、SEOに悪影響を与える可能性があるため要注意です。
- 信頼性の低いサイトからのリンク
- 介護と関連のないサイトからのリンク
- SEO評価の操作を目的とした不自然なリンク
被リンクは「品質」を重視し、獲得先・獲得方法にこだわりましょう。
MEO対策を同時進行する
MEOは、Googleマップや特定の地域における検索結果で上位表示を目指す施策です。介護施設のような地域密着型ビジネスでは、MEOの取り組みが問い合わせの増加に直結します。
マップ検索やローカル検索で自社情報を表示させるためには、Googleビジネスプロフィールを運用する必要があります。
Googleビジネスプロフィールの登録・運用手順
- Googleビジネスプロフィールの登録・オーナー認証を行う
- 自社の基本情報を詳細に設定する
※NAP情報（会社名・住所・電話番号）は公式サイトの記載と統一させること - 写真や動画を投稿する
- 良質な口コミを収集し、返信する
MEOは、SEOと比較して対策しやすく、リソースが限られている場合でも手軽に運用できます。SEOとの相乗効果も期待できるため、同時進行で対策しましょう。
介護施設の集客に役立つSEO対策以外のWeb施策
SEO対策以外にも、介護施設の集客を効率化させるWeb施策があります。
- リスティング広告
- ポータルサイト
いずれもSEO対策との併用が有効な施策です。詳細を見ていきましょう。
リスティング広告
リスティング広告は、検索キーワードに連動して表示されるテキスト形式の広告です。
能動的に情報収集しているユーザーに広告を表示できるため、問い合わせに直結しやすい見込み客を集められます。SEOと並行されることの多い施策ですが、両者には以下のような違いがあります。
＜リスティング広告とSEOの相違点＞
| SEO | リスティング広告 | |
| 効果が出るまでの期間 | 長い半年以上必要 | 短い最短即日 |
| 効果の持続期間 | 長い上位表示を維持する限り継続 | 短い出稿を止めると効果がなくなる |
| 費用 | 少額から取り組める | 予算が多いほど有利 |
リスティング広告とSEOは、互いにデメリットを補い合う関係性にあります。事前に費用対効果を検証し、採算が合う場合は利用を検討してみましょう。
ポータルサイト
介護に関連する多くのキーワードで上位表示を獲得しているのが、大手ポータルサイトです。自社情報をポータルサイトに掲載することで、即効性の高い集客効果が見込めます。
掲載先は「狙いたい地名＋老人ホーム」で検索した際に、自社より上位表示されるポータルサイトを選びましょう。外部に依存した集客手段なので、活用する場合はSEO対策を並行することをおすすめします。
介護施設のSEO対策は有益なコンテンツの提供が重要
介護施設のSEO対策は、ユーザーにとっての有益性を第一に考えて実行することが大切です。ユーザーに役立つ情報を提供し、自社の信頼感を高めることが、問い合わせの増加につながります。
まずは、適切なキーワードを選定し、公式サイトのコンテンツを充実させることから始めましょう。地道な取り組みではあるものの、継続することで大きな成果が見込めます。自社の目的達成に向けて、本記事の内容を参考にしていただけますと幸いです。
