動物病院のホームページを、大きな集客経路として機能させる手段が「SEO」です。適切なSEO施策は、広告に依存せずとも公式サイトのアクセス数を継続的にアップさせます。
本記事では、動物病院向けにSEOの具体的な施策をまとめました。ホームページ経由の問い合わせ数が伸びずにお悩みの病院関係者の方は、ぜひ参考にしてください。
動物病院のSEO対策におけるキーワード戦略
SEO対策の成功率は、選定するキーワードに左右されるといっても過言ではありません。動物病院のキーワード戦略では、おもに以下の2点が重要です。
- 見込み客が検索しやすいキーワードを把握する
- ロングテールキーワードから取り組む
具体例とともに、それぞれの詳細を解説します。
見込み客が検索しやすいキーワードを把握する
SEO対策のキーワード戦略では、まず「見込み客がどのようなキーワードで検索するのか」を把握することが大切です。動物病院を利用しうるユーザーが検索しやすいキーワードには、大きく以下の5種類があります。
キーワードのカテゴリ | 具体例 |
---|---|
地域名 | 動物病院 町田 ペット 病院 柏 川崎 ペットクリニック |
動物の種類 | ハムスター 病院 横浜市 病院 爬虫類 足立区 鳥 病院 所沢 |
緊急性 | 動物病院 浜松 夜間 名古屋 動物病院 日曜 動物病院 千葉 24時間 |
診療内容 | 猫 去勢手術 代々木上原 フィラリア検査 練馬 犬 歯石取り 大宮 |
ユーザーの悩み・疑問 | 老犬 介護 疲れた 子犬 しつけ 甘噛み 猫 トイレ以外で尿 突然 |
とくに「地域+動物病院」は問い合わせにつながりやすいキーワードなので、重点的に取り組みましょう。まずは「市区町村」「駅名」など、規模の小さいキーワードから対策するのがおすすめです。
ロングテールキーワードから取り組む
SEO対策を成功させるためには、複数語句を組み合わせた「ロングテールキーワード」から対策を始めることが重要です。競合が少ないため、立ち上げて間もないサイトでも上位表示を狙いやすくなります。
- 犬 逆くしゃみ 止まらない
- 猫 ワクチン 副作用 いつまで
- 犬 涙やけ 取り方
ロングテールキーワードを探す際は、以下のようなツールを活用するのがおすすめです。
いくつかキーワードの候補を抽出できたら、競合の状況や自院との相性をふまえ、対策の優先順位を決めましょう。
【重要】動物病院のSEOコンテンツ対策
動物病院がSEOを成功させるには、高品質なコンテンツの作成が求められます。コンテンツ対策において、とくに重視すべきポイントは以下のとおりです。
- ユーザーの役に立つブログ記事を作成する
- 公式サイトに必須のコンテンツを網羅する
- ファーストビューに重要な情報を掲載する
- E-E-A-Tを高める
コンテンツSEOは、医院の認知度向上と反響アップに欠かせません。それぞれ詳細を見ていきましょう。
ユーザーの役に立つブログ記事を作成する
ユーザーの悩みや疑問を解決するブログ記事は、ホームページへの流入経路として機能します。記事コンテンツが上位表示を獲得すれば、ペットを飼育している多くのユーザーに自院の認知を拡大できるのです。
- 犬の認知症に関する知識や対処法
- 肉球の役割やケガの原因
- 換毛期におけるブラッシングやシャンプーの方法
お悩み解決記事は、選定した「ロングテールキーワード」からユーザーのニーズを逆算して作成します。自院の信頼感を醸成する効果もあるため、リソースを確保できない場合は記事作成の外注を検討してもよいでしょう。
公式サイトに必須のコンテンツを網羅する
動物病院のホームページに掲載すべきコンテンツは以下のとおりです。
診療内容・サービス内容 | 診療内容を科目別・症状別などに分けて掲載する |
---|---|
料金・支払い方法 | ・診療内容別に料金を掲載した一覧表を用意する ・決済方法や、各種保険適用の可否を明示する |
症例集 | ペットの症例を、症状発生の経緯や写真とともに紹介する |
院長プロフィール | 院長の経歴・所属学会・想いなどを写真付きで掲載する |
スタッフ紹介 | 看護師やスタッフのプロフィールを紹介し、信頼感を高める |
アクセス情報 | マップとともに、交通アクセスや駐車場の有無を掲載する |
問い合わせフォーム | 電話以外の問い合わせ手段を用意する |
テキスト情報だけではなく、写真や画像を積極的に活用してコンテンツを作成しましょう。視覚的訴求力を高めることで、ユーザーのサイト滞在時間が増加し、SEO評価によい影響を与えます。
ファーストビューに重要な情報を掲載する
サイトを訪れたユーザーが最初に目にする領域「ファーストビュー」には、とくに重要な情報を掲載しましょう。
- 電話番号・所在地
- 診療時間
- 自院の特長(飼い主やペットにとってのベネフィット)
ユーザーがファーストビューのみを閲覧し、サイトを離脱する割合は40%~60%といわれています。問い合わせの増加を図るうえでは、ユーザーが求めている情報を端的に掲載することが大切です。
E-E-A-Tを高める

E-E-A-Tとは、Googleが「検索品質評価ガイドライン」にて示しているコンテンツの品質評価基準のことです。
Experience(経験) | コンテンツのトピックに関して、作成者が実際の経験を持っているか |
Expertise(専門性) | 業界における専門的な知識やスキルが示されているか |
Authoritativeness(権威性) | コンテンツが業界内でどの程度認められているか |
Trust(信頼) | サイトやコンテンツは信頼に足るものか |
動物病院はYMYLジャンル(人生に大きく影響を与えるジャンル)に該当するため、情報の信憑性がとくに厳しく問われます。E-E-A-Tを重視してサイトの信頼性を確保しなければ、上位表示を狙うことは困難です。
- 医院の基本情報や理念を伝える専用ページを設ける
- 獣医のプロフィールを詳しく掲載する
- よい評判を獲得する(例:被リンクやサイテーションの獲得)
E-E-A-Tは明確な評価基準がなく、対策の絶対的な正解はありません。「ユーザーから信頼を得られるコンテンツ作り」を重視し、丁寧に施策を実行していくことが大切です。
動物病院が最低限取り組むべきSEO内部対策・外部対策
SEO対策では、Googleから適切な評価を得られるよう、サイトの構造・内容を整備することが大切です。動物病院で最低限取り組んでおきたいSEO内部対策・外部対策には、以下のようなものがあります。
- タイトルの最適化
- 内部リンクの最適化
- モバイルフレンドリー
- 高品質な被リンクの獲得
それぞれの具体策を確認していきましょう。
タイトルの最適化
各ページのタイトルは、コンテンツの内容をユーザーやGoogleに伝えるうえで極めて重要な役割を担います。検索順位に与える影響が大きいため、最優先で改善したい要素です。
まずは、各ページのタイトルが以下の項目を満たしているかチェックしてみましょう。
- 30文字前後で設定している
- 対策キーワードが文章の前半に配置されている
- 不要な情報が含まれていない
- コンテンツの内容が一目で伝わる文章になっている
タイトルは、検索結果でのクリック率にも大きく影響します。魅力的なタイトルを設定し、サイトへの流入数を増やしましょう。
内部リンクの最適化
内部リンクとは、自院のサイト内の関連ページ同士をつなぐリンクのことです。内部リンクはユーザーのサイト内回遊を促すだけではなく、Googleにサイト構造を適切に伝える役割も担います。
内部リンクの最適化には、以下のような施策が効果的です。
- 関連性の高いページをつなぐ(例:予防接種の料金詳細はこちら)
- パンくずリストを設置する(例:トップページ>診療内容>内科>皮膚のお悩み)
- サイトマップ(サイトの構造やページを一覧表示するファイル)を活用する
動物病院の公式サイトでは「トップページから各コンテンツへの遷移のしやすさ」をとくに重視しましょう。
モバイルフレンドリー
ユーザーの過半数はスマホで検索エンジンを利用するため、サイトのモバイル最適化(モバイルフレンドリー)は欠かさず行いましょう。
- レスポンシブデザイン(閲覧デバイスに表示が最適化されるデザイン)を採用しているか
- ページの読み込み速度は適切か(推奨2.5秒以内)
- ボタンやフォントのサイズ、行間は適切か
モバイル最適化は、SEO評価の面ではもちろん、ユーザーの離脱を防ぐうえでも極めて重要です。とくにページの読み込み速度が肝心なので、Googleの無料ツール「PageSpeed Insights」を利用して改善を図ることをおすすめします。
高品質な被リンクの獲得
被リンクとは、外部のサイトから自院のサイトへリンクが貼られた状態を指します。被リンクの量・質は、サイトの権威性や信頼性を示す証としてSEO評価に大きな影響を与えます。
動物病院に適した被リンクの獲得先・獲得方法は以下のとおりです。
- 所属している獣医師会や団体に、会員として情報を掲載する
- 専門家として、関連メディアへ記事を寄稿する
- 取引先や提携業者に相互リンクを提案する
- 高品質な記事コンテンツを作成し、専門メディアからの引用を狙う
ただし、以下のような被リンクは、SEO評価に悪影響を与えるおそれがあるため避けましょう。
- 金銭的な取引によって獲得した被リンク
- 動物病院と関連性の低いサイトからのリンク
- 低品質なサイト(スパムサイトなど)からのリンク
- 過度な相互リンク
あくまでも、ユーザーにとって有益な被リンクを増やす姿勢が大切です。
動物病院の集客力を高めるSEO対策以外のWeb施策
動物病院の集客力を高めるWeb施策として、代表的なものは以下の2種類です。
- MEO(ローカルSEO)
- SNS運用
どちらもSEOによい影響を与える施策です。詳細を見ていきましょう。
MEO(ローカルSEO)
MEO(ローカルSEO)は、マップ検索や地域検索における検索順位の向上を目指す取り組みを指します。地域での存在感を高めるうえで、動物病院には必要不可欠な施策です。
MEOに取り組む際は、Googleビジネスプロフィールを運用する必要があります。
- Googleビジネスプロフィールの登録・オーナー認証を行う
- 医院の基本情報(病院名・住所・電話番号)を公式サイトの表記と統一させる
- 写真や動画を投稿する
- 良質な口コミを収集し、返信によってユーザーとコミュニケーションを図る
口コミ数や評価の高さは、検索順位にはもちろん、ユーザーの意思決定にも大きな影響を与えます。ポジティブなレビューを増やすために、飼い主への口コミ依頼を地道に継続することが大切です。
SNS運用
昨今では、SNSを用いて情報を発信する動物病院が多数存在します。よく利用されているのは、視覚的な訴求力に優れた「Instagram」や「YouTube」などのプラットフォームです。
動物病院がSNS運用に取り組むメリットには、以下のようなものがあります。
- 拡散力が高く、潜在層にも効率的に認知を拡大できる
- 画像・動画コンテンツは、テキスト情報よりも気軽に閲覧してもらえる
- 双方向のコミュニケーションによって「ファン化」を促進しやすい
- サイテーション(Web上で言及されること)獲得により、自院の信頼性が高まる
SNS運用における注意点は、農林水産省によって定められている「獣医療広告ガイドライン」を遵守することです。動物病院におけるSNS運用は「広告」に該当するため、投稿する内容や表現には注意を払う必要があります。
SNS運用に取り組む際は、2024年4月1日付けの改定とあわせて資料に目を通しておきましょう。
動物病院のSEO対策は信頼性を重視しよう
動物病院のSEOを成功させるためには、ユーザーにとって有益なコンテンツを充実させ、信頼性を確立することが重要です。まずは、自院のホームページに足りない要素を洗い出すことから始めましょう。
SEOに即効性はありませんが、地道な取り組みが自院の資産として蓄積し、やがて大きな成果をもたらします。ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、取り組みやすいものから着手を検討してみてください。