自社メディア(オウンドメディア)を運営するにあたって、欠かせないツールがGoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクス(GA4)です。
サーチコンソールはサイトにアクセスする前、アナリティクスはアクセスしてからのユーザーの動きを解析するツール。しかし、クリック数(アクセス数)に差が生じることもあります。
この記事では、サーチコンソールとアナリティクスのクリック数(アクセス数)が合わない理由を解説。また、各ツールにおけるデータの見方もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
【大前提】GoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクス(GA4)の違い
サーチコンソール | アナリティクス | |
---|---|---|
対象ユーザー | サイトにアクセスする前 | サイトにアクセスした後 |
表示されるデータ | ・クリック数 ・表示回数 ・クリック率 ・検索順位 | ・流入経路 ・セッション ・PV数 ・継続時間 ・直帰率 ・成約率 ・成約数 など |
できること | ・インデックス状況の確認 ・検索結果上のパフォーマンス確認 ・ページパフォーマンスの確認 | ・ユーザー属性の確認 ・ユーザー行動の把握 ・リアルタイムでの利用状況 |
いくら記事を量産しても、上位表示されなければアクセスは集まりません。そのようなときに重宝するツールがサーチコンソールです。サーチコンソールは、サイトやページのパフォーマンス確認や改善に役立ちます。たとえば執筆したブログ記事のインデックスを促進したり、流入クエリ(キーワード)に合わせてリライトしたりなど。
一方、アナリティクスはユーザー行動を改善するうえで欠かせません。成約率が低い場合はCTAの位置やマイクロコピーを修正する、直帰率が高い場合はページの構成を見直すなど、さまざまな施策で用いられます。
サーチコンソールのクリック数がアナリティクスのセッション数と合わない3つ理由
サーチコンソールのクリック数がアナリティクスのセッション数と合わない理由は、おもに3つあげられます。
- Google以外の検索エンジンからの流入を計測していないから
- 検索エンジン以外の流入(ダイレクト、SNSなど)を計測していないから
- タイムゾーンが異なるから
それぞれの理由について、詳しく解説します。
Google以外の検索エンジンからの流入を計測していないから
サーチコンソールは、Google検索からの流入を計測しています。したがってYahooやBingなど、他の検索エンジンからの流入は計測していません。
日本における検索エンジンのシェアはGoogleが約75%を占めていますが、依然として他の検索エンジンも利用されています※。
パソコン (2021年9月時点) | スマートフォン (2022年3月時点) | |
75.7 | 75.2 | |
Yahoo! | 14.2 | 24.2 |
Bing | 9.6 | 0.3 |
その他 | 0.5 | 0.3 |
アナリティクスでは、Google以外の検索エンジンからの流入もセッション数にカウントします。そのためにサーチコンソールとアナリティクスで差異が生じます。
アナリティクスの「集客サマリー」を見ると、流入元となる検索エンジンの確認が可能です。こちらは私が運営しているサイトの集客サマリーです。
セッションの手動参照元のうち、9割程度はGoogle検索から流入していることがわかります。
検索エンジン以外の流入(ダイレクト、SNSなど)を計測していないから
サイトには検索エンジン以外にも、DirectやOrganic sosialなど複数の流入経路があります。サーチコンソールでは、検索エンジン(Google)以外の流入を計測していません。
Organic Search | Google、Yahoo!など 検索エンジンからの流入 |
Direct | URLを直接入力、 またはブックマークからの流入 |
Organic social | X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなど SNSからの流入 |
Referral | 他のサイト経由の流入 |
アナリティクスのセッション数は「Organic Search」以外の流入も計測するため、サーチコンソールのクリック数と乖離が生じます。
例として私の運営しているサイトでプラグイン「Google site kit」によりアナリティクスのデータを分析しました。サイト流入の割合として、Organic Searchが91.3%、Direct、Organic socialがそれぞれ4%程度発生していました。
サーチコンソールでは、Direct、Organic socialを計測できていません。そのためアナリティクスのデータとズレが生じます。
タイムゾーンが異なるから
サーチコンソールとアナリティクスではタイムゾーンが異なります。サーチコンソールにおいて、記録、表示の日付はすべて太平洋時間(PT)です。
アナリティクスの時間は管理者の設定した国に合わせた時間になっており、日本であれば「日本時間」に設定されています。
太平洋時間と日本時間には17時間(サマータイムであれば16時間)の時差があるため、サーチコンソールとアナリティクスのデータにはズレが生じます。
アナリティクスのタイムゾーンは、「管理>プロパティ>プロパティの詳細」で確認が可能です。
サーチコンソールで計測できるデータの見方サーチコンソールは、Google検索による流入を計測するために必要なツールです。計測できるデータと、その見方を解説します。
- 表示回数
- クリック数
- 平均CTR
- 平均掲載順位
どのデータも1日だけではなく、推移を計測するのが大切です。全体のデータに加え、フィルタリングを使えばページやクエリごとのデータも見られます。
表示回数
サーチコンソールの「表示回数」は、Google検索で自分のサイトが表示された回数です。
検索順位やクリックに関わらず、サイトが検索結果に含まれていればカウントされます。よって表示回数が伸びても、そのままクリックにつながるとは限りません。表示回数はあくまで目安として使いましょう。
私は表示回数を単体で見ることは少なく、表示回数に対するクリック数(CTR)を評価しています。
クリック数
クリック数とは、Google検索から自分のサイトがクリックされた数を意味します。表示回数だけでは閲覧につながらず、サイトがクリックされて初めてユーザーがサイトを閲覧しています。
表示回数が多いのにクリック数が伸びない場合、検索結果には表示されているものの記事が見られていないことを意味します。その場合はタイトルや検索順位に改善が必要です。
平均CTR
CTRとはクリック率のことで、(合計クリック数)÷(合計表示回数)から算出されます。
平均CTRが高いほど、検索結果からクリックされる確率が高いことを意味します。平均CTRを伸ばすためには、SEO対策により検索順位を上げたりユーザーがクリックしたくなるタイトルを設定したりする必要があります。
平均掲載順位
平均掲載順位は、検索結果にサイトが表示されたときの平均順位です。数字が小さい方が検索順位が高いため、クリックされやすくなります。
掲載順位を上げるには、記事のリライトや被リンク獲得などSEO対策が必要です。
アナリティクスで計測できるデータの見方
アナリティクスはGoogle検索に限らず、サイト流入を総合的に分析できるツールです。アナリティクスのデータについて、項目と見方を解説します。
- ユーザー
- セッション
- ページビュー数
- 平均セッション継続時間
- 直帰率
サーチコンソールより項目が増えるので混乱するかもしれませんが、基本的にアナリティクスではこの5項目をチェックすれば十分です。
ユーザー
ユーザーとはサイトを訪れた人の数です。アナリティクスの「ユーザー属性の概要」では、ユーザーについて次の情報を取得できます。
- 国
- 過去30分のユーザー数
- 市区町村
- 性別
- 年齢
- 言語
「ユーザー」は、コンテンツがどのようなユーザーに届いているか分析するために役立ちます。
なお、同じユーザーが同じ日に2回サイトを訪ねた場合でも、ユーザーは1としてカウントされます。
セッション
セッションを確認するには、ホーム画面から「セッション>セッション」を選択します。
セッションとは、サイトが表示されてからユーザーが離脱するまでの行動をカウントします。
同じユーザーが1日に2回サイトを訪れた場合、セッションは2回としてカウントされます。
サーチコンソールのクリック数ではGoogle検索からの流入のみを計測していますが、アナリティクスのセッションでは他の検索エンジンや、検索エンジン以外の流入経路も計測しています。
ページビュー数
ページビュー数を確認するには、ホーム画面から「ページ/スクリーン>表示回数」を選択します。
ページビュー数とは、ユーザーがサイト内の1ページを閲覧した回数を指します。同じユーザーがサイト内のページA→ページBを継続して閲覧した場合、セッションは1ですがページビューは2回としてカウントされます。
ユーザー、セッション、ページビュー数の違いをまとめました。
項目 | 同じユーザーが 1日2回訪問した | 同じユーザーが 継続して2つのページを閲覧した |
ユーザー | 1としてカウント | 1としてカウント |
セッション | 2としてカウント | 1としてカウント |
ページビュー数 | 2としてカウント | 2としてカウント |
ページビュー数>セッション>ユーザーの順に数は大きくなります。
平均セッション継続時間
セッションを確認するには、ホーム画面から「セッション>平均セッション継続時間」を選択します。
平均セッション継続時間は、1セッションあたりにユーザーがサイトを閲覧していた時間です。サイトを訪れたユーザーの満足度を推測する指標として役立ちます。
平均セッション継続時間が短いと、ユーザーがサイトのコンテンツを十分見ないままに離脱している可能性があります。
直帰率
セッションを確認するには、ホーム画面から「セッション>直帰率」を選択します。
「直帰」とは、サイト内の1ページだけ閲覧して離脱することです。直帰率は(1ページのみのセッション数)÷(全てのセッション数)により算出されます。
直帰率は一概に「高い(低い)方がいい」と断言することはできません。
1ページのみのサイトであれば、直帰率が高くでも問題ありません。逆に複数のコンテンツを持っているサイトで直帰率が高い場合、ユーザーが十分にサイトを閲覧せず離脱しているため改善が必要になります。
サーチコンソール内でデータが合わない理由
サーチコンソールを分析していて、合計クリック数と各クエリのクリック数の間で辻褄が合わないことに気付いた人もいるでしょう。人によっては、サイトやサーチコンソールの設定が合っているか心配になるかもしれません。
一般的に、サーチコンソール内でデータが合わなくても問題ありません。サーチコンソール内のデータが合わないのは、主に2つの理由があります。
- すべてのクエリが表示されるわけではない
- データの一部が欠落している
それぞれの理由について、詳しく解説します。
すべてのクエリが表示されるわけではない
サーチコンソールでは、全てのクエリについてクリック数が表示されるわけではありません。一部のクエリが表示されていないため、各クエリのクリック数が少なく表示される場合があります。
Search Console ヘルプにも、次の記載があります。
検索パフォーマンス レポートでは、ユーザーのプライバシー保護のため、一部のデータを表示しないことがある。たとえば、実行回数が非常に少ないクエリや、個人情報または機密情報を含むクエリは、トラッキングされないことがあります。
なお、表には 1,000 行までしか表示されません。Search Console API を使用すると、表の行をさらに多く表示できます。
データの一部が欠落している
サーチコンソールでは、保有できるクエリのデータが限定されています。特にデータが膨大な場合、重要度の高いクエリのみデータが保存されます。
内部的な制限により、Search Console によって保存されるデータ行は上位のものに限られ、すべては保存されません。そのため、匿名化されたクエリに限らず、一部のクエリは表示されません。代わりに、プロパティ全体で特に重要なクエリを表示することに重きが置かれています。
欠落しているクエリは重要度が低いと考えられるため、サイト分析には表示されているクエリを活用すれば問題ないでしょう。
まとめ
サーチコンソールはGoogle検索からの流入(オーガニック流入)、アナリティクスは検索エンジンを含めた総合的な流入を分析できます。サイトへ集客するためには、違いを抑えたうえで両者を活用する必要があります。
なお、全ての数値を毎日チェックする必要はありません。各データを確認する頻度は、リソースやサイトの規模によって柔軟に変えましょう。