オウンドメディアは意味ない・失敗するといわれる理由と対策を紹介

この記事の監修者

「新潟SEO情報局」の局長。SEO歴は10年以上で、オウンドメディア運用やコンテンツSEOが得意。普段はフリーランスのSEOコンサルタント兼ディレクターとして活動中。

オウンドメディアは資産性の高い集客媒体ですが、成果が出ずに閉鎖される事例も多く存在します。しかし、正しく対策することで失敗を避け、売上につながるメディアへと育てることは十分に可能です。

本記事では、オウンドメディアが意味ない・失敗するといわれる理由をもとに、防止策とチェックリストを詳しくまとめました。これからメディア立ち上げを検討している方や、始めてみたけど成果が出ないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

この記事は「コンテンツ制作ポリシー」に沿って制作しています。

目次

オウンドメディアが「意味ない」といわれる9つの理由

オウンドメディアが「意味ない」といわれる9つの理由をまとめてみました。

9つの理由
  1. 自社の商材が決まっていない
  2. 目的が定まっていない
  3. 商材の単価が低い
  4. 成果が出るまでに時間とリソースを要するから
  5. 他部署との連携が取れていない
  6. SEO対策に関する知識が不足している
  7. 新規でドメインを取得しようとしている
  8. やみくもにコンテンツを公開している
  9. 狙っている顧客がズレている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自社の商材が決まっていない

「まだ扱う商材が決まっていないものの、先にメディアを立ち上げて集客しておきたい」という相談をいただくことがあります。

本来、オウンドメディアは扱う商材やペルソナを定め、そこから逆算してキーワードとコンテンツを設計します。たとえば弊メディア「新潟SEO情報局」の商材や想定ペルソナは以下のとおり。

商材想定ペルソナ
・SEOコンサルティング
・オウンドメディア運用代行
・記事制作代行
・新潟市在住の男性サラリーマン
・30歳前後で不動産会社に勤務
・1人Web担当者としてホームページの管理を担当
・サイトへの流入数を増やし、見込み客を獲得したい

誰に・何を届けるのかが不明確なままオウンドメディアを立ち上げると、ズレたターゲットばかり集めてしまう可能性が高いです。まずは商材を固め、SNSやWeb広告でテストマーケティングを実施しましょう。

「Web上でも成約につながる、間違いなく需要がある」と確信を持てた段階で、オウンドメディアの構築を進めていく方が失敗も少なく効率的ですよ。

目的が定まっていない

「オウンドメディア(自社メディア)」といっても、目的はさまざま。おもな目的は5つ考えられます。

オウンドメディアの目的
  • 認知拡大→潜在顧客に自社を知ってもらう
  • ブランディング→「◯◯といえばこの会社」という想起につなげる
  • リード獲得→資料請求やウェビナー参加などを促し、顧客育成につなげる
  • 売上拡大→アフィリエイト広告を掲載し売上につなげる
  • 採用→求職者へアプローチすることで採用力を強化する

目的によって、狙うべきターゲットやキーワード、必要なコンテンツは異なります。「なんとなくイケそう」という安易な理由で始めると、成果につながらず撤退となりかねません。

商材の単価が低い

自社でオウンドメディアを運用するにせよ、少なからず人件費が生じます。コンテンツの制作やデータ分析など、業務は多岐にわたります。

仮にメディアチームを3人で編成し、各々の給与が30万円だとしたら、3人×30万円=90万円/月の人件費がかかる計算。そして単価1,000円の商材で成約率1%の場合、人件費を回収するには以下の数字が必要になります。

<条件>
単価1,000円の商材を扱い、90万円の売上を創出する。
└目標成約数900件/月
└目標アクセス数90,000/月

大量のアクセスを集めるのは至難の業。低単価商材とオウンドメディアは相性がイマイチなので、SNSで集客する方が効果的です。

事前にシミュレーションし、利益が見込めそうと判断してからオウンドメディアを構築し始めましょう。

成果が出るまでに時間とリソースを要するから

参入するジャンルや狙うキーワードによって期間は異なりますが、おおよその目安は以下のとおり。

参入ジャンル競合の強さ成果が出るまでの期間
金融★★★★★1年〜
美容・健康★★★★★1年〜
転職・求人★★★★★1年〜
Saas★★★★6ヶ月〜1年
製造★★★3〜6ヶ月

競合が多い業界は、どれだけ短く見積もっても最低1年ほどかかります。さらに、Googleのアルゴリズム変動(コアアップデート)によって順位も頻繁に入れ替わるので、売上も安定しにくい傾向です。

安定性を求めるのであれば、需要はあるけど競合が少ないキーワード(ロングテールキーワード)を狙いましょう。

他部署との連携が取れていない

オウンドメディアの主な流入経路は検索エンジン(Google・Yahoo!)です。そしてコンテンツを上位表示させるためには、EEATの概念が欠かせません。

項目概要
Experience(経験)経験談・一次情報など製品を使ってみる、現地に足を運んでみる
Expertise(専門性)専門家・その道のプロならではの視点SEO会社が運営するSEOのノウハウ
Authoritativeness(権威性)メディアや執筆者が認知されているか引用される、ニュースに掲載される
Trust(信頼)信頼できるサイトやコンテンツであるかSSL化されている、運営者情報が明確である

運用を外注に丸投げすると、どうしても当たり障りないコンテンツとなり、差別化につながりません。そこで、独自性や一次情報を掲載できるよう他部署と連携することが求められます。

営業担当にヒアリングし、顧客の声をコンテンツに反映させる。カスタマーサポートに寄せられる情報をもとに、FAQ(よくある質問)を作成する。

このように組織全体でオウンドメディア運用に取り組むことが、成功への鍵となります。

SEO対策に関する知識が不足している

SEO対策とは検索エンジン最適化のこと。検索エンジンからの流入を狙うオウンドメディアにとって、SEO対策は必須の施策です。

たとえばコンテンツを制作する場合、キーワードごとの検索意図を汲み取り、それに応じた構成案を組み立て本文を執筆します。この際、狙うキーワードの選び方や関連キーワードの含め方、SEOライティングの知識がないと、高品質なコンテンツが仕上がりません。

SEO対策に関するノウハウは、さまざまな企業がブログやYouTubeで発信しています。これらを参考にするだけでも、基本的なSEO対策スキルは身につくでしょう。

新規でドメインを取得しようとしている

新しく会社や事業を立ち上げた際、専用のドメインを取得するケースもあります。しかし、ドメインには「ドメインエイジ(年齢)」や「ドメインパワー(評価)」という概念があります。

ドメインエイジが短いとGoogleからの評価が低く、コンテンツがインデックスされない、上位表示されにくいなどの問題が生じやすいです。

また、ドメインパワー(ドメイン評価)はホームページの評価を数値化したもの。他サイトからの引用や被リンクに比例して向上していきます。

新規ドメインの場合、ドメインエイジ・パワーともに0の状態。つまり、どれほど高品質なコンテンツを作成しても上位表示されないのです。

そのためコンテンツ作成と並行して、外部SEO対策も進めていかなければいけません。

やみくもにコンテンツを公開している

「毎日ブログを公開しよう!まずは目標100本」と意気込み、オウンドメディアを運用するケースも見受けられます。確かに記事数に比例してアクセスや成約数も伸びていきますが、やみくもに進めても効果はでません。

それどころか、Googleから「低品質なコンテンツ」と判断されると、サイト全体の評価が下落するおそれもあります。

1記事入魂型のスタンスで、質を意識したコンテンツを公開し続けましょう。

狙っている顧客がズレている

オウンドメディアのKPIにアクセス数があります。アクセス増加に伴う認知の拡大が目的ならよいのですが、リード獲得や売上につなげるなら、成約数を追いかけなければいけません。

そのためには、商材に合わせたペルソナ設定とキーワード選定が重要です。たとえば同じ「SEO対策」というテーマでも、検索ユーザーが置かれている状況は異なります。

  • SEO対策に関する知識がないため、1から勉強したいフリーランス
  • Web担当者になったため、自力でSEO対策を進めなければいけないビジネスマン

自社でSEOコンサルティングを提供している場合、顧客となるのはビジネスマンです。ペルソナに刺さるようなキーワードとコンテンツを設計し、成約につなげましょう。

「意味のある」オウンドメディアにするポイント10選

「意味のある」オウンドメディアにするには、以下10個のポイントを意識しましょう。

ポイント10選
  1. 競合を調査する
  2. 費用対効果が見込めるかシミュレーションする
  3. 目的を明確にする
  4. ペルソナとカスタマージャーニーを設定する
  5. SEO対策に関する基礎知識を身につける
  6. KPIを定める
  7. 狙うべきキーワードを選定する
  8. コンテンツ制作の体制を整える
  9. SNSと連携する
  10. PDCAを回しながら運用を継続する

それぞれ解説します。

競合を調査する

競合がオウンドメディアを運営しているかどうかを調査することは、戦略立案の第一歩です。競合のコンテンツやターゲット層、SEO対策などを分析することで、自社のメディアが差別化できるポイントや改善点を見つけられます。

たとえば、競合サイトのトラフィックや検索順位をチェックし、どのようなコンテンツが人気かを把握します。また、競合の成功事例や失敗例を学ぶことで、自社の戦略に活かせます。

費用対効果が見込めるかシミュレーションする

オウンドメディアの運営にはコストがかかるため、費用対効果が見込めるかシミュレーションすることが重要です。

まず、コンテンツ作成やSEO対策にかかる費用を見積もりましょう。そして、予想されるトラフィックやコンバージョン率を基に、収益をシミュレーションします。これにより、どの程度の投資が必要で、どれくらいのリターンが期待できるかを把握できます。

さらに、定期的に実績を振り返り、計画と実際の成果を比較して、戦略の修正を行うことも重要です。費用対効果を常に意識することで、オウンドメディアの運営を継続できるでしょう。

目的を明確にする

目的なくしてオウンドメディア運用は成功しません。改めて、オウンドメディア運用の主な目的を見てみましょう。

オウンドメディアの目的
  • 認知拡大→潜在顧客に自社を知ってもらう
  • ブランディング→「◯◯といえばこの会社」という想起につなげる
  • リード獲得→資料請求やウェビナー参加などを促し、顧客育成につなげる
  • 売上拡大→アフィリエイト広告を掲載し売上につなげる
  • 採用→求職者へアプローチすることで採用力を強化する

企業によって目的は異なりますが、必ず最初に設定すべき要素です。組織全体で一体感を持って運用できるよう話し合いましょう。

ペルソナとカスタマージャーニーを設定する

ペルソナを設定しない=顧客が不明なので、誰に・何を・どのように届ければよいのかわかりません。見込み客となるユーザーの年齢や性別、趣味嗜好、生活スタイルなどを可視化しましょう。

また、あわせてカスタマージャーニーも設定します。カスタマージャーニーとは、ユーザーがユーザーが商材を認知してから購入にいたるまでの行動を見える化するもの。イメージが以下のとおりです。

フェーズ認知興味・関心比較・検討行動
状況・背景
思考・感情
行動
タッチポイント
訴求

ペルソナとカスタマージャーニーを設定することで、ユーザーの心理や段階に応じたコンテンツを制作できるようになります。

SEO対策に関する基礎知識を身につける

検索流入を狙うにあたって、SEO対策に関する基礎知識は不可欠です。軸となるSEOスキルは5つあげられます。

必要なSEOスキル
  • 競合分析:ベンチマークとなるサイトの抽出や獲得キーワード、ドメインパワーなどを調査
  • キーワード選定:競合が弱く、なおかつ成約に近いキーワードを狙う
  • ライティング:関連キーワードや共起語を含めつつ本文を執筆
  • データ分析:GA4やサーチコンソール、ヒートマップのデータをもとにコンテンツを修正
  • リンクビルディング:ドメインパワーが高くなるような施策を講じる

SEO会社が提供している情報を読み漁れば、これらの基礎知識は身につきます。もし独学で習得することが困難であれば、コンサルを受ける、スクールに入るなどしてSEOのプロから学ぶとよいでしょう。

KPIを定める

KPI(Key Performance Indicator)とは、主要業績評価指標のこと。オウンドメディアの場合、段階ごとに以下のようなKPIを設定します。

ユーザーの段階認知興味・関心比較・検討
オウンドメディアの段階立ち上げ〜集客ファン化リード獲得
主なKPI・記事数
・検索順位
・アクセス数 など
・滞在時間
・直帰率
・再訪率
・スクロール率 など
・成約数
・成約率 など

オウンドメディアを立ち上げた直後は、まだ顧客から認知されていません。そのため認知獲得を優先し、ターゲットキーワードの検索順位やアクセス数などを追いかけます。

一定数のアクセスを獲得できてきたら、リード獲得に向けての施策を進めます。関連記事を追加して滞在時間や回遊率を高める、既存記事をリライトしてスクール率を改善するなどが例ですね。

そしてCTAやマイクロコピーなどの試行錯誤を重ね、成約数の向上を目指します。

狙うべきキーワードを選定する

オウンドメディア運用の鍵を握るのがキーワード選定。自社サービスやペルソナとは無関係なキーワードを選んでしまうと、オウンドメディアのメディアを果たせません。

たとえば弊メディア(新潟SEO情報局)は、SEOコンサルティングやオウンドメディア運用、記事制作代行などを請け負っています。そのため、これらに関連するキーワードを選ぶ必要があります。

また、ペルソナが抱えている悩みや置かれている状況からも、キーワードを掘り出せます。具体例が以下のとおり。

悩み・状況検索しそうなキーワード
自社サイトのSEO対策を任された・SEO対策とは
・SEO対策 自分で
・SEO対策 キーワード
アナリティクスやサーチコンソールの見方が分からない・アナリティクス 使い方
・サーチコンソール 使い方
・サーチコンソール アナリティクス 違い
リソースが足りないため外注を探している・Webライター 探し方
・記事制作代行 おすすめ
・記事制作 費用 相場

なお、キーワードを調査する際は次のようなキーワードを使うのが一般的。

  • キーワードプランナー
  • ラッコキーワード
  • Ahrefs(エイチレフス)
  • Ubersuggest(ウーバーサジェスト)
  • Semrush(セムラッシュ)

競合サイトが獲得しているキーワードも調査できるので、オウンドメディアを運用する際は必ず導入しましょう。

コンテンツ制作の体制を整える

コンテンツ制作は複数人の体制で臨むのが理想。もちろん1人でキーワード選定から企画出し、本文執筆まで遂行してもよいですが、更新頻度が低くなる、データ分析まで手が回らないなどの課題が生じます。

たとえば、下記のような体制があげられます。

役割業務内容
プロジェクトマネージャー(編集長)メディア全体の方向性や進捗管理を担う責任者
ディレクター(編集者)キーワード選定や記事構成、編集などを担う。
ライター記事本文の執筆を担う。必要に応じて他部署と連携し独自性のある情報を盛り込む。
マーケターアナリティクスやサーチコンソールの数値管理、改善の施策出しなどを担う。
デザイナーサイトやコンテンツ内のデザインを整える役割。

なお、一部の業務を外注に任せることもできます。費用はかかるものの、専門家を採用することで、効率的なオウンドメディア運用につながるでしょう。

SNSと連携する

オウンドメディアのおもな集客経路は検索エンジンです。しかし、SNSアカウントを育て連携することで相乗効果が見込めます。たとえば、次のような活用法が考えられます。

  • オウンドメディアの記事を切り抜いてX(Twitter)に投稿する
  • 記事の要約を画像化し、Instagramに投稿する
  • 記事を台本として活用し、YouTubeの動画を撮影するなど

また、SNS上の認知度が高まるとサイテーション(自社サイトに関する言及・引用)を獲得できるので、間接的なSEO効果も見込めます。

SNSに対して抵抗を持っているかもしれませんが、オウンドメディアを成功させるならぜひ活用したいツールですね。

PDCAを回しながら運用を継続する

オウンドメディア運用における主なPDCAは以下のとおり。

P(Plan)・コンテンツの方向性
・流入数や成約数の目標値
D(Do)・企画の実施
C(Check)・数値の確認
・データ分析
A(Action)・コンテンツや成約率の改善案を出す

週次・月次などこまめに進捗や現状を確認しながら、長期的な視野を持ってオウンドメディアを運用していきましょう。

オウンドメディアが失敗に終わるのは「事前準備」が足りないから

オウンドメディアが失敗する理由は、一言でいえば「事前準備が足りないから」です。オウンドメディアの立ち上げには、以下のような準備が必要になります。

オウンドメディア立ち上げに必要な準備
  • 「売上」につなげるための戦略立案
  • 運用を継続させるためのリソース確保
  • KPI設計や進捗共有体制の構築

これらの事前準備なくして、オウンドメディアを成功に導くことはできません。

裏を返せば、準備を入念に行うことで、オウンドメディアを利益を生み出す根源に育てることは十分に可能です。失敗に終わる典型的な原因を知り、事前に対策を講じましょう。

オウンドメディアが失敗する典型的な5つの理由

「オウンドメディアで成果が出ない」には、必ず理由があります。私もこれまで数々のオウンドメディアに携わってきましたが、その中でわかった「よくある失敗パターン」は以下のとおりです。

オウンドメディアが失敗する典型的な5つの理由
  • 検索順位を上げることばかりに執着している
  • ターゲットを明確にできていない
  • 目標達成に向けたアクションプランが定まっていない
  • 確保すべきリソースを見積もっていない
  • 短期間で成果を求めすぎている

それぞれの要因を実例ベースで紹介します。

検索順位を上げることばかりに執着している

オウンドメディアの検索順位を上げるためには、SEO対策が不可欠です。しかし、検索順位を上げることが唯一の目的になると、「見込み客の役に立つため」ではなく「Googleから評価されるため」に情報発信するようになります。

これでは結局、ユーザーへの価値提供がおろそかになり、企業への信頼感は得られません。

売上向上は、企業のブランド価値向上や、長期的な信頼性構築によって成り立つものです。本質的な順序を見誤ると、オウンドメディアの最終目標(=売上向上)がかえって遠のきます。

ターゲットを明確にできていない

オウンドメディアのターゲットを明確にしていないと、誰にも響かないコンテンツが出来上がり、具体的な成果につながりません。以下のように、社内の都合を優先した場当たり的な情報発信になるからです。

「今月は○○が話題だから取り上げよう」
「来月は新サービスをリリースするから宣伝しよう」

このような更新を繰り返しても、メディアとしての一貫性が出ません。ユーザーのニーズに沿っていないため、流入数も伸びません。

ターゲットが明確になって初めて、オウンドメディアの最終目標(=売上向上)から逆算した戦略を立案できるようになります。

目標達成に向けたアクションプランが定まっていない

オウンドメディアの目標・KPIを設計したはいいものの、それを「どうやって達成するのか」が曖昧な事例がよく見受けられます。

アクションプランが具体的に定まっていなかったり、実行できていなかったりすると、以下のような状況に陥ります。

  • メディアへの訪問者はそれなりにいるが、すぐに離脱してしまう
  • コンテンツは見られているものの、成約数がまったく増加しない

オウンドメディアが、単なる情報発信の場にとどまってしまっては意味がありません。最終的な成果を出すためには、売上向上に必要な施策を具体的に検討することが重要です。

確保すべきリソースを見積もっていない

オウンドメディアが失敗する大きな要因の1つとして、「リソース不足により運用を継続できなくなる」ことが挙げられます。

オウンドメディアの成果が出始めるまでには、最低でも50本程度のコンテンツが必要です。これを「広報担当に丸投げ」「1人のマーケ担当が孤軍奮闘」という体制で回そうとしても、無理があるのは目に見えています。

立案した戦略を維持し、運用を継続させるためには、組織的な運営体制を築いて属人化や疲弊を防がなければなければなりません。

短期間で成果を求めすぎている

「こんなに大変だなんて聞いていない」
「半年やって成果が出なかったからやめた」

非常によくある失敗パターンです。

参入するジャンルや狙うキーワードによって異なるものの、成果が出るまでにはおおよそ以下の期間がかかります。

参入ジャンル競合の強さ成果が出るまでの期間
金融★★★★★1年〜
美容・健康★★★★★1年〜
転職・求人★★★★★1年〜
Saas★★★★6ヶ月〜1年
製造★★★3〜6ヶ月

競合が多い業界は、どれだけ短く見積もっても最低1年ほどかかります。この流れを理解せずにスタートしてしまうと、人手や費用が足りずに頓挫してしまうでしょう。

また、社内の認識を事前に統一しておくことも重要です。「半年頑張っても成果が出ないなら、やっても意味がないのではないか」とモチベーションが低下する社員が出てくると、運用を継続できなくなります。

オウンドメディアを始める前にやるべきこと5選

成功しているオウンドメディアは、「始める前」に以下のような準備をしています。

オウンドメディアを始める前にやるべきこと5選
  • オウンドメディアの「使命」を明確にする
  • ペルソナとカスタマージャーニーを設定する
  • 売上につながるコンテンツ戦略を立案する
  • 組織的な運営体制を整備する
  • 進捗を「見える化」する仕組みを構築する

失敗を未然に防ぐための具体的な施策を解説します。

オウンドメディアの「使命」を明確にする

オウンドメディアの使命とは、オウンドメディアの「存在意義=何をやるか」とも言い換えられます。

オウンドメディアの使命の具体例
  • 営業部門の管理職が、チーム力を高めて売上向上を図れるようにする
  • Web業界で働く人のモチベーションを高める

オウンドメディアが果たすべき使命が明確であれば、「検索上位を獲得するためのコンテンツ」は生まれません。自然と「ターゲットにとって真に必要な情報を届けるコンテンツ」を作る方向に、組織全体で向かえるようになります。

結果としてメディアのファンが生まれ、「指名検索」が増え、成約数の向上につながる。成功しているオウンドメディアはこの順番を正しく認識し、実行しています。

ペルソナとカスタマージャーニーを設定する

オウンドメディアで「何を実現すべきか」が明確になったら、ペルソナ(コンテンツを届けたい具体的な顧客像)を設定します。

ペルソナ設定で検討すべき項目
  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 職業・役職
  • 年収
  • 家族構成
  • 価値観
  • 趣味嗜好
  • 情報収集媒体
  • 今抱えている悩み
  • 中長期的な目標・夢
  • (BtoBの場合)会社情報・ミッションなど

あわせて、カスタマージャーニーマップも作成します。カスタマージャーニーとは、ユーザーが商材を認知してから購入に至るまでの行動を見える化するもの。イメージは以下のとおりです。

ペルソナとカスタマージャーニーは社内で共有し、メディア運用に対する認識を統一させます。そして、それぞれのステップにおいてKPIを設定し、施策を立案・実行します。

これにより、顧客視点でコンテンツ作成ができる基盤が整い、一貫性を保った運用を継続できます。

売上につながるコンテンツ戦略を立案する

前述したとおり、ユーザーの購買段階は「認知→比較・検討→行動」と進みます。オウンドメディアを売上につなげるためには、コンテンツを「ユーザーを次の購買フェーズへと導く手段」として戦略的に活用しなければなりません。

重要ポイントは「いつ」「どの段階のユーザーに」「どのような」コンテンツを届けるかを明確化することです。

そこで必要になるのがコンテンツカレンダーです。コンテンツカレンダーは、オウンドメディアで配信するコンテンツをスケジュール化したもの。メディアの全体像を社内で共有でき、戦略的な計画実行に役立ちます。

最初はざっくり、3〜6ヶ月分のコンテンツカレンダーを作成しておくとよいでしょう。アクセス解析にもとづいて、月ごとにKPI達成状況を振り返ると、継続運用するためのさまざまなヒントが得られます。

組織的な運営体制を整備する

オウンドメディアの運用は、複数人体制で臨みましょう。前述のとおり、オウンドメディアの成果が表れるまでには最低50本のコンテンツが必要です。1人で回そうとしても更新頻度をキープできず、計画倒れに終わるリスクが高まります。

組織体制の具体例は以下のとおりです。

役割業務内容
プロジェクトマネージャー責任者としてメディア全体の方向性や進捗管理を担う
ディレクターキーワード選定や記事構成、編集などを担う
ライター記事本文の執筆を担う。必要に応じて他部署と連携し独自性のある情報を盛り込む。
マーケターアナリティクスやサーチコンソールの数値管理、改善の施策出しなどを担う
デザイナーサイトやコンテンツ内のデザインを整える役割を担う

一部の業務を外注に任せると、より効率的なオウンドメディア運用につながります。ただし、オリジナリティのあるコンテンツを作るためには、外注に「丸投げ」ではいけません

他部署と連携することで、一次情報を盛り込んだ独自性の高い記事を制作できるでしょう。

他部署と連携したコンテンツ制作の例
  • 営業担当にヒアリングし、顧客の声をコンテンツに反映させる
  • カスタマーサポートに寄せられる情報をもとに、FAQ(よくある質問)を作成する

このように組織全体でオウンドメディア運用に取り組むことが、成功への鍵となります。

進捗を「見える化」する仕組みを構築する

オウンドメディアは短期的に成果が見えにくいため、組織のモチベーションを維持する仕組みが必要です。「やって意味あるの?」という空気を醸し出す同僚や、「まだ成果が出ないのか」と催促する上司が生まれないよう、定量的な進捗を共有して納得感を育てましょう。

進捗状況を組織で共有するには、以下のような施策が有効です。

月次レポートの定期配信「月間PV数の増減」「人気記事ランキング」などを月1回配信する
成功事例のシェア「SNSで拡散された記事」「CV達成した記事」などを書いた人を社内で祝い、盛り上げる
訪問者や顧客の声を共有ユーザーのポジティブな反応をスクショし「今月のコメント集」として共有する

このように、小さな成功を積み上げることが、長期運用の支えになります。社内全体が「自分ごと」として捉えられるよう、他部署を巻き込みながらポジティブな機運を高めましょう。

オウンドメディアの失敗防止チェックリスト

以下では、オウンドメディアの失敗を防ぐためのチェックリストをまとめています。1つでも欠けているなら「要改善」。

「失敗を避けるために事前に対策しておきたい!」という方はもちろん、「すでに始めているけど成果が見えない」という方も、ぜひチェックしてみてください。

目的・戦略編

  • オウンドメディアが「誰の未来を」「どのように変えるのか」を説明できる
  • 競合メディアの戦略分析を行い、自社独自の強みを言語化できている
  • 市場調査や顧客データなどをもとに、ペルソナを設定している
  • カスタマージャーニーマップを作成し、社内の共通認識にできている
  • 達成したいKPI(PV・CV・リード数など)を設定している
  • KPI達成に向けた、具体的なアクションプランが定まっている

とくに「メディアの存在意義」や「KPIとアクションプランの整合性」は、戦略の核となる重要ポイントです。曖昧なままにせず、チームでの対話を通じて深掘りすることをおすすめします。

コンテンツ企画・設計編

  • 読者の悩み・ニーズにもとづいてコンテンツ案を出せている
  • SEOキーワードを調査し、検索意図を分析できている
  • キーワードの難易度や、検索ボリュームを考慮している
  • 競合のコンテンツを分析し、差別化できる要素を盛り込んでいる
  • タイトル、見出し、導入文の書き方についてルールを定めている
  • 各記事のタイトル・hタグなどに対策キーワードを盛り込んでいる
  • CTA(問い合わせ・資料DLなど)を記事内に設置している
  • コンテンツカレンダーを作成している
  • 独自のノウハウや取材などをもとに、オリジナリティのある企画を検討している

「検索意図に応える内容になっているか」「競合と何が違うのか」を常に意識することがポイントです。読者視点と検索エンジン視点をバランスよく捉えながら、チェックを進めてみてください。

運用体制・品質管理編

  • 執筆・編集の担当者を決めている
  • 執筆ガイドラインが存在する(トンマナ、文体など)
  • 校正・ファクトチェック体制がある
  • WordPressやCMSの操作マニュアルがある
  • アイキャッチ・図解などのデザイン制作担当者を決めている
  • 外注/内製の分担方針が定まっている
  • 著者情報や監修者を明記し、信頼性を確保している
  • 著作権侵害を避けるルール(引用表記や画像使用など)を組織で共有している

「誰が」「どのような基準で」「どこまで責任を持つのか」が曖昧だと、トラブルや品質のばらつきにつながります。メディアとしての倫理も意識しながら、実務レベルで運用できるかどうかを丁寧にチェックしてみてください。

SEO・集客編

  • 内部リンクを最適化している
  • 構造化マークアップを活用している
  • サイトマップ送信やインデックス登録が行われている
  • ページの読み込み速度の改善を行っている
  • モバイルフレンドリーなメディアになっている
  • SNS連携の導線を設けている(シェアボタンなど)
  • リンク獲得を狙った企画(独自調査など)を実施している
  • リライト候補記事を定期的に洗い出している
  • 順位変動時やアクセス減少時の対応フローを決めている

これらのSEO対策は、コンテンツの良さを最大限に伝えるための「土台」です。後回しにせず、運用フェーズで整えておきましょう。

CV・導線設計編

  • CTAボタン・バナーのABテストを実施している
  • スマホでタップしやすいボタン設計になっている
  • eBookやホワイトペーパーと連携できている
  • フォームの最適化(離脱率改善)を行っている

CTAの配置やデザインは、ちょっとした違いでも成果に大きく影響します。数値を見ながら、地道に改善を積み重ねていく視点でチェックしてみてください。

効果測定・改善編

  • GoogleアナリティクスやGoogle Search Consoleで数値を確認している
  • 流入元(オーガニック・SNSなど)の比率を把握している
  • ヒートマップなどを使った行動分析をしている
  • 読了率やスクロール率を計測している
  • KPI達成率を定点観測している
  • 改善会議や振り返りを月1回以上実施している
  • 競合メディアの変動を注視している
  • チームの負担感をモニタリングしている
  • 進捗状況や成功事例を社内で共有している

数値の確認は目的ではなく、改善のヒントを得るための手段です。次の一手の精度を高めるために、数字と現場状況のバランスを見ながらチェックしてみましょう。

まとめ

オウンドメディアが失敗する要因は「準備不足」と「早期の諦め」がほとんどです。裏を返せば、正しい事前準備によって失敗は回避できます。

土台となる戦略や社内体制を整備し、オウンドメディアを成功へと導きましょう。

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